ふらっとちゃっと 世界を股に、隕石娘!・・・今明かされる、痛恨のUSAコウモリ事件とは!?

2017/06/11

flat-1↑加藤さん(前列左から2人目)
大阪大学で環境を学ぶ学生がお送りしているラジオ番組「ふらっとちゃっと」。
大学の先生や留学生をゲストに迎えたり、いま話題のテーマで討論したり、地域で行われている催しに参加して取材したり、毎月趣向を凝らしてお届けしています。
(放送…第2日曜午後2時~3時30分・再放送午後9時、翌月曜午後2時)

■発掘!Osaka University
大阪大学の先生や留学生をゲストに招いてお話を聞くこのコーナー。
今回のゲストは、今年から助教として着任したこのかた。
「加藤千図(かとう・ちず)です」
所属は環境エネルギー工学科・量子システム工学領域。
現在の研究内容は、原子力発電の廃棄物から金属を分離するというものです。
「学生時代はぜんぜん別の研究をしていました」
それはなんと、隕石の研究。
隕石の試料を薄片に切り出し、成分や年代を測定していました。
隕石と一口に言っても、石質・鉄質・石鉄など、いくつか種類があります。
とても硬いので、隕石を切るのは大変な作業。回転する砥石で、少しずつ少しずつ切り出していきます。
ここで加藤さんからクイズ。

「隕石は砂漠や南極などでよく見つかります。その理由は?」

うーん・・・
砂や雪が、「ポフッ」とクッションになるから?
正解は「見つけやすいから」。
本来、石などあるはずのない場所で見つかれば、それは空から降ってきた可能性が高い、とのことです。
加藤さん自身が探しに行くわけではありませんが、隕石探しを職業にしている人もいるとか。
研究用の隕石は、博物館などに依頼して譲ってもらったりするほか、インターネットでも購入できるそうです。
じゃあ、鉄質隕石を購入して、それから刀を作ったりもできますか?
「できるとおもいます。隕石の鉄は純度が高く、少量のニッケルも含まれていたりします」
なんて夢のある話。そうやって作った刀では、なるべくまたつまらぬものを斬ってしまわぬように・・・。

北海道で育った加藤さん。
子どもの頃から地学に興味を持っていたといいます。
考古学もやってみたかったのですが、人骨を扱うこともあると聞いて挫折。
北海道大学に進み、大学院卒業後は単身アメリカへ。
ワシントン大学セントルイス校で5年間の研究生活を送りました。
アメリカで困ったことは?
「医療費がとても高くて・・・」
あるとき、部屋にコウモリが飛び込んできたことがありました。
そのときは大したことと思っていなかったのですが、狂犬病のウイルスを持っている可能性があるといわれ、ワクチンを射ちに行った加藤さん。請求書を見て仰天!
「えっ、800ドル!?(約8万円)」
しかもそれは1回の料金で、5回接種する必要があり、しめて40万円!?
大阪のおばちゃんの言う「40万円」だったら良かったのですが・・・。
その後、なぜか値引きしてもらえましたが、それでも支払いは10万円ほどになったとか。
アメリカの次に行ったのは、フランスのパリ地球物理研究所。
ここでも医療費は高く、なるべく医者にかからないようにしていたそうです。
フランスでは、お役所仕事の遅さに泣かされたといいますが・・・。
「3年滞在したんですが、申請した保険証ができるまでに2年半かかりました」

海外でもいろいろな経験を積みながら、研究を続けてきた加藤さん。その醍醐味は?
「実験のデータが出てきたとき、その時点でそれを知っているのは世界で自分だけ。そんな瞬間があります」
多くの研究者に共通する言葉。胸躍るそんなひとときを求めて、加藤さんの研究生活はこれからも続くのでした。