まちのラジオ第2週 「Jポップで考える哲学」…大阪大学大学院特任研究員・戸谷洋志さん

2017/06/08

handai-2(中央)戸谷洋志さん
箕面の主な活動グループが週替わりでお送りする「まちのラジオ」。毎月第二木曜は、大阪大学社学連携事業。大学と社会のつながりをテーマに放送しています。
今回は、大阪大学大学院 医の倫理と公共政策学教室 特任研究員の戸谷洋志(とや・ひろし)さんをお迎えし、専門の「哲学」について、実際に議論を交わしながら考えていきました。

戸谷さんが哲学に興味を持ったきっかけは?
「漫画の『鋼の錬金術師』という作品との出会いですね」
ファンタジー作品ですが、そこで描かれていたテーマ「生命と科学技術の関わり」が、戸谷さんを哲学の道へと誘います。
では、そもそも「哲学」とは?
「プラトンがこのように言っています。『前提の前提へさかのぼっていくこと』」
例えば、ある問いに対して、答えは存在するのかを考えます。
そこからさかのぼって「そもそも『答え』とは何なのか?」という問いが生まれます。
新たな問いの答えを探し、問いがまた生まれ…きりがない!?
考え続けること。それが「哲学」なのかもしれません。

●ラジオで「哲学カフェ」
番組では、聞き手の学生二人と戸谷さんで「哲学カフェ」に挑戦しました。
これは1990年代、フランスで始まった対話型のワークショップで、日本では2000年代に大阪大学などを中心に広まっていきました。
今回のテーマは「人工知能」。
チェスはもちろん、将棋や囲碁でさえ、人間は人工知能にかなわなくなっている。これ以上進化したら、人間の存在が脅かされるのではないか?
人間が人工知能より優れている点は?
…こんな内容で、3人で繰り広げた思索のひととき。
学生の意見に、戸谷さんも「うーん・・・」と考え込む場面もあり、知的探求の面白さを体験する機会となりました。handai-1

●Jポップで考える哲学

戸谷さんは、哲学に関して、こんなユニークな著書を出版しています。

Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲 (講談社文庫)

若者たちに人気の流行曲、その歌詞の中には、意外に深い内容のものがある・・・。そんな戸谷さんの気付きをまとめたもので、1つの曲につき歴史上の哲学者の思想を対応させながら読み解いています。
例えば、
BUMP OF CHICKEN「天体観測」からは、フランスの哲学者・ベルクソン。
SEKAI NO OWARI「RPG」からは、ドイツの哲学者・ヤスパース。
そして、いきものがかり「YELL」については、本を読んだいきものがかりの水野良樹さん自身から戸谷さんに問い合わせがあり、それが縁で水野さんと戸谷さんのトークイベントが実現しました。
ビッグネームとの対談に、「水野さんは本当に神のようなかたで・・・」と思い出を語る戸谷さんでした。