まちのラジオ第2週 ムーミン・ビッケ問題、そして大学と市民の「共約可能性」について…大阪大学大学院言語文化研究科准教授(スウェーデン語専攻)古谷大輔さん

2018/03/08

machi-furuya箕面の主な活動グループが週替わりでお送りする「まちのラジオ」。毎月第二木曜は、大阪大学社学連携事業。大学と社会のつながりをテーマに放送しています。
今回のゲストは、大阪大学大学院言語文化研究科・准教授、スウェーデン語専攻の古谷大輔(ふるや・だいすけ)さん。この番組には、二回目のご登場となります。
そして、もうお一方は大学生。
「文学部3回生、平良理子(たいら・りこ)と申します」
インドネシアの伝統音楽「ガムラン」を研究する傍ら、自分でも演奏するそうです。
この「まちのラジオ」に興味を持ち、制作に関わりたいと名乗りを上げていただきました。

今年2月に行われた冬季オリンピック・平昌大会。
日本選手団の活躍が光りましたが、女子のカーリングも注目を集めた競技の一つでした。
日本チーム、堂々の銅メダル獲得!
そして開催国の韓国は、「メガネ先輩」らの頑張りで、銀メダルの快挙!
そのアジア勢を抑えて金メダルに輝いたのが、スウェーデンでした。
「冬になると湖や川が凍りつき、日常的にスケートに親しむ環境があったのがスウェーデンなどの国です」
国ごとの得意種目から、その国の生活が伺えるといいます。
オリンピック期間中、スウェーデン南部の都市・ルンドへの出張があった古谷さん。今回初めて、デンマークからの移動中に、パスポートチェックがありました。これまでは何もなしで行き来できていたのに・・・と残念そうな古谷さんですが、移民などの増加に伴い、チェックが厳しくなっているそうです。

●センター試験の「ムーミン・ビッケ問題」について
1月の大学入試センター試験で、設問が適切かどうかについての議論に注目が集まりました。
いわゆる「ムーミン・ビッケ問題」。
問題になったのは「地理B」の試験で、アニメの絵と北欧諸国の言葉の、正しい組み合わせを回答するというものでした。
取り上げられたのは「ムーミン」「小さなバイキング ビッケ」。
正答とされたのは、
・ムーミン→フィンランド
・ビッケ→ノルウェー
しかし、ムーミン谷は架空の場所で、フィンランドだという表記は確認されていません。
作者のトーベ・ヤンソンはスウェーデン系フィンランド人で、ムーミンもスウェーデン語で書かれています。
ビッケもスウェーデン人がスウェーデン語で書いた作品で、舞台もスウェーデンなのだとか。
このようなことから、古谷さんたち大阪大学の研究者が「試験問題としては適切ではないのでは」と問題提起しました。
これが大きくクローズアップされ、賛否両論が巻き起こります。
問題はありましたが、アニメを題材に、より良い試験問題を作ろうという姿勢には賛同したい、と古谷さん。
その上で、自分たちのような研究者の協力体制ができれば、さらに良いものができるはずだとお話しいただきました。

●第3回大阪大学21世紀懐徳堂シンポジウム
3月1日(木曜日)、箕面市立メイプルホールで行われたシンポジウム。
「大阪大学外国語学部がめざす外国学~言葉とともに、箕面とともに」
こんなタイトルで、古谷さんを始めとする研究者の講演、インド音楽の演奏などが行われました。
後半では、箕面市国際交流協会と市民活動フォーラムみのおからゲストを迎え、市民と大学の連携について意見が交わされました。
「外国学」の歴史を遡ると、江戸時代の「蘭学事始」にたどり着きます。
杉田玄白らが、手探りで努めたオランダ語の解読。
全く異なる文化間では、100パーセントの意思疎通は不可能といえるでしょう。
そうした中で、どれだけお互いに理解しあえるのか、すり合わせて行けるのか。
それを探るのが「外国学」ということになります。
古谷さんが提唱する「共約可能性」という言葉が、それを表しています。

「異なる文化間の意思疎通」というテーマは、そのまま大学と市民との関係にも当てはまります。
これまで、すぐそばに存在しながら、なかなか連携できていなかった両者。
2021年、大阪大学外国語学部は箕面市船場地区の新しいキャンパスに移転します。
新駅が目の前にあり、新しい市立ホールや図書館も隣接し、大学と市民はかつてないほど近づくといえるでしょう。
そんな恵まれた立地を、どこまで生かせるのか。
それは、大学と市民の双方に問われる課題です。
鍵になるのは、やはり「人」ではないでしょうか。
大学内にも、市民の側にも、それぞれキーパーソンたちがいて、その人たちの結びつきが深まれば、そこから見たこともないような世界が広がるのでは・・・。
不安もありますが、大学と市民が手を取り合う未来に、期待は大きくふくらみます。
タッキー816の船場スタジオの場所は、新しい箕面キャンパスの真ん前。
小さいながらも、その存在が大学と市民をつなぐ一つの架け橋になることを、願ってやみません。
古谷さん、これからも一緒に、楽しいことをいっぱいやりませんか?
「やりましょう!」
そんな風に、力強くお答えいただきました。