写真データはクラウドに保存する時代?@「カメラとお散歩」

2018/04/04

毎月第一水曜日11時からお送りする「カメラとお散歩」ではスタジオに
写真家 宮本陽さんをお迎えして、カメラの楽しみ方や撮影エピソード、
ワンポイントアドバイスなどを聞かせていただきます。

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今月のテーマは「写真データはクラウドに保存する時代?」

写真(デジタル)をとりまく環境はずいぶん変わりました。
宮本さんに、写真データの保存方法の推移と、クラウドサービスでの写真保存の注意点などを
教えていただきました。

1.かつての保存方法
かつてはjpegデータなどのファイルは、パソコン内部のフォルダに保存し、
それらのデータが増えてパソコンの容量を圧迫してくると、外部ストレージへ移動したり、
DVD-Rなどのディスクメディアに保存するケースが多かったと思われます。
もちろん、現在でもこうした方法がなくなったわけではありませんが、
バックアップの意味も含め、見たい時にすぐにOpenできるかを考えると、ディスクメディアは
もう過去のものかもしれません。
そうすると、外部あるいは増設ハードディスクに保存となるかと思いますが、
これもUSBケーブル等で接続したり、電源を入れたりといった手間がかかります。
また撮影枚数によっては、一つの媒体で収まらず複数のストレージに分かれてしまうケースも
あるはずです。
また、ハードディスクは故障のリスクも皆無ではありません。
衝撃を与えるなどしていなくても、故障する可能性はゼロではない点に不安が残ります。

2.通信回線の環境向上とともに、クラウド保存が実用的に
数年前までは通信回線が遅く、アップロードするのに何時間も必要だったり、
クラウドスペースを借りるには高額な費用がかかったり、といった状況でした。
現在は、光ファイバーによる固定回線だけでなく、スマートフォン経由のモバイル回線でも、
ストレスにならない環境が整ってきました。
また、クラウドストレージは、無料で利用できるところも増えてきており、
スマートフォンをお使いの方は、意識しないうちにデータのバックアップにクラウドが
使用されていることも多い、という状況になりました。

3.クラウド利用のリスク
大変便利な時代にはなりましたが、リスクについてもしっかりと考えねばなりません。
まずクラウドサービスは、そのサービスを提供する事業者が物理的にデータを保管する機器を
データセンターに設置し、その中に利用者のデータを保管します。
この機器は一般的に、一人で占有するわけではなく多くの他の人たちと共有する仕組みです。
またデータへのアクセスは、通信回線経由で行います。通信回線で繋がるということは、
悪意を持った不正アクセスによるリスクもあるかもしれません。
もちろんサービス提供事業者は、セキュリティ対策を入念にとっているはずですが、
何ごとも100パーセントの安全は保障されないことを、十分に理解しておかねばなりません。

もう一つ、よく考慮せねばならないのは、個人のデータを将来的にはサービス提供者が
使うこともある、といった条件で「無料」で提供しているケースが多いことです。
また、Googleが提供する写真保存のストレージは、容量は無制限ですが、
1,600万画素を超えるデータは圧縮されると書かれています。(2018年4月最新の状況は未確認)
つまりオリジナルのデータをそのまま保存・保管しておきたいといった要望を
全て満たすことはできません。
また、写真画像のURLを取得すれば、誰でも見ることができると言われています。
「人に見られてはいけない写真もあるけど、一応セキュリティで保護されているはず」
という感覚でクラウドに保存した写真が、誰かに見られるかもしれないのです。
もちろん、そうでないかもしれませんが、確約はできません。
データをクラウドに置くというのはこうしたリスクもある、ということです。
(サービス提供会社へ属性や傾向を教えてAIを育てている、という側面もあると思われます)

4.クラウドと手元ストレージの使い分け
それならクラウドは否定すべきものかというと、そうではありません。
出先でアクセスする必要があったり、他のデバイスでも利用したいといった
使用頻度の高いデータは、クラウドにおくと便利です。
特に業務撮影の場合には、クラウド経由でクライアントにデータを確認していただきます。
(今の時代、わざわざ会う機会を設けて写真を確認することはありません。)
一方で納品済みのデータや頻度の低いデータは、クラウドに置く必要がないため、
手元のハードディスクに保存します。
また、映像系のデータは写真とは違い、相当巨大なファイルサイズになるために、
物理的にクラウドには置けない場合が多いです。

以上のことから、用途と目的によって使い分けるスタイルを目指すのが良いのではないでしょうか。
スマートフォンのデータは、現在のクラウド自動連携の方向でこれからも拡大するでしょう。
写真データはクラウドを活用できる時代になったと言えます。
しかし一方で不正アクセスのリスクを知るとともに、なぜ無料であるのか?その裏にある
使用許諾についても、よく考えてみる習慣をお持ちになってください。

もっと詳しいお話が聞きたい方や、宮本さんの写真講座にご興味がある方は
宮本さんのウェブサイトをご参照ください。

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「カメラとお散歩」毎月第一水曜日 午前11時〜
再放送 当日午後7時40分〜

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(文責:千波留)