まちのラジオ第2週 溢れるデータから真実を見抜く!統計学のチカラ…大阪大学基礎工学部長・研究科長、狩野裕教授

2018/07/12

handai-kanouyutaka桑江さん / 浅川さん / 狩野教授 / 横井さん / 水間さん / 中村さん
箕面の主な活動グループが週替わりでお送りする「まちのラジオ」。毎月第二木曜は、大阪大学社学連携事業。大学と社会のつながりをテーマに放送しています。
今回は大阪大学基礎工学部長・研究科長の狩野裕(かの・ゆたか)教授をお招きして、お話を伺いました。
(聞き手:大阪大学21世紀懐徳堂学生スタッフ 桑江良周さん)
狩野裕教授

狩野裕教授


狩野さんの専門は「統計学」。
多くのデータを集約・分析するための学問で、理系・文系を問わず必要となってきます。
とはいえ、学問としての認知度はあまり高くなく、「統計学が専門です」と言ったらけげんな顔をされることもあったとか。
そんな風潮が、最近変わりつつあるといいます。
大手ビジネス誌の表紙に踊る「統計学」の大見出し。
用語としてすでに定着した感のある「ビッグデータ」。
これには、PCやインターネットの普及・発展が大きく寄与している、と狩野さん。
一昔前なら大きくかさばっていた電算機に対して、今や手のひらサイズのスマートフォンが同等以上の性能を持つようになっています。
個人レベルで高度なデータ処理が可能になり、統計についての環境は飛躍的に向上していると言えるでしょう。
そんな現在、改めて問われるのが「データから真実を見抜く」ということ。

【例1・顧客満足度98%の真実】
ある通販の広告に「大人気商品!顧客満足度98%を達成」のうたい文句が。
これ、本当でしょうか?
例えばお子さんに「これ本当なの?」と聞かれたら、うまく答えられますか?
「そんなん嘘に決まってるやろ、しょうもない。それより宿題もう済ませたん?」
こんな風に答えていませんか?
実はこの数値、データの取り方にカラクリがあるのです。
それは「同じ商品を2回以上注文した人に限定してアンケートを取る」ということ。
一度購入したものを再度注文するということは、客がその商品を気に入ったものと考えられます。
いわゆる「リピーター」に限定しているから、満足度が高いのも当たり前。
これは卑怯?それとも「技あり」?
いずれにせよ、嘘はついてないわけです。
出された値を鵜呑みにせず、どのようにデータを取ったのかを推察する。
騙されないために「見抜くチカラ」が問われてきます。

【例2・アメリカの歴代大統領は長男が多い!?】
「アメリカの歴代大統領やノーベル賞受賞者など、偉大な人物は長男・長女が多い」
こんな話が、今でもまことしやかに語られています。
実際に、歴代のアメリカ大統領は長男が最も多く、次いで次男、三男以降という順になっています。
やっぱり、長男は二番目以降よりも優秀なんでしょうか・・・。
実はここにも、データのカラクリが。
「そもそも長男は次男・三男に比べて多いんです」
これもよく考えれば当然で、一人っ子の家庭には次男・三男は存在しません。
頭数なら確かに長男は多いのですが、それがそのまま長男の優秀性を表しているわけではないのです。

「数値は何かを語っているんです」と狩野さん。
それを読み解くチカラを身に付けないといけない、専門家も、それ以外の人も・・・。
2011年には「統計検定」がスタート。資格としても認められるようになり、受験者も年々増加の一途を辿っています。
発起人の一人である狩野さんも「こんなに受け入れられるとは思わなかった」と嬉しい誤算のようすでした。
大阪大学では学内に「数理・データ科学教育研究センター」を開設し、より多くの学生が統計学やデータ科学の素養を身に付けるのに必要な基盤を整備しています。

番組には、狩野さんの下で学ぶ学生のみなさん(中村駿佑さん、水間浩太郎さん、横井智広さん)にもご参加いただき、統計のことなどについてお聞きしました。
その他、狩野さんからは、趣味の卓球についてのお話しも。
大阪大学在学中から卓球部員として卓球に明け暮れた学生時代、そして教員として大阪大学に戻り、卓球部の顧問に。
「卓球は私の『半生』ですね。『反省』じゃないですよ(笑)」
お話しぶりから、仕事も趣味も充実している、そんな狩野さんのご様子がうかがえました。