まちのラジオ第2週 能勢人形浄瑠璃「鹿角座」の挑戦・・・ええっ?人形のモデルは藤原○香!?

2019/09/12

handai_190912肥後さん / 山崎さん / 松田さん
箕面の主な活動グループが週替わりでお送りする「まちのラジオ」。毎月第二木曜は、大阪大学社学連携事業。大学と社会のつながりをテーマに放送しています。
今回のゲストは・・・
・大阪大学大学院文学研究科特任助教・山崎達哉(やまざき・たつや)さん
・浄るりシアター館長・松田正弘(まつだ・まさひろ)さん
(聞き手:大阪大学21世紀懐徳堂 肥後楽さん)

山崎さんの専門は、神楽など日本の伝統芸能の研究です。
松田館長との出会いは、山崎さんが学生の頃。松田さんが講師を務めた「イベントをプロデュースする」という演劇学の授業に参加したのが最初でした。
学生たちが松田さんに付けたキャッチフレーズ、それは「ギンギラギンにさりげなく」。
エネルギッシュで情熱的で饒舌・・・そんな松田さんの人柄を表していて、言い得て妙!
一方、松田さんから見た山崎さんの第一印象は「笑わない生意気な男」。妙に気になる学生だったという山崎さんを、授業を通して俺が変えてやる!と松田さんは決意しました。
結局、そのときからの付き合いは山崎さんが教員となった現在も、山崎さんが担当するアートマネジメントの授業に松田さんが協力するなどの形で続いています。

●能勢人形浄瑠璃鹿角座
松田さんが館長を務める能勢町の「浄るりシアター」は、当地の浄瑠璃の拠点です。
江戸後期から伝わる能勢の浄瑠璃はもともと素浄瑠璃、つまり三味線と謡いだけのシンプルなものでした。そこに人形を加え、人形浄瑠璃に発展させたのが1998年のことで、2006年には「鹿角座(ろっかくざ)」として正式に劇団を旗揚げしています。
 人形浄瑠璃としての歴史は決して古くはありませんが、その分「どこかのまねではない、能勢のオリジナルを」と、強くこだわった人形作り。旧来の人形はみんなのっぺりした顔立ちで、もっと立体的な顔にすればいいじゃないか・・・と松田さんは人形彫師に相談します。
人形彫師の回答は
「君は400年前のことで悩んでいるんだ」
人形浄瑠璃の歴史が始まったとき、当時の人形彫師が苦心し、改良を重ねてきた結果、今の人形がある。無駄をそぎ落としてきた結果、喜怒哀楽を動き一つで表現できる今の顔になった・・・。
そういった歴史を学びつつ、それでも「より人間に近い顔を」とデザインに試行錯誤。「女優の藤原紀香さんをイメージ」したものもあるそうで、他にはないオリジナルの人形が完成しました。
さらにイメージキャラクターとして、「お浄」「るりりん」が誕生。黒髪ぱっつんのお浄、ピンクのロングヘアーのるりりんはアニメ風の萌えキャラ、「つん」と「デレ」をそれぞれ担当する永遠の能勢高校1年生・・・という設定だそうです。
一般的な伝統芸能という観点からは相当ブッ飛んでいる能勢人形浄瑠璃ですが、そんな「攻め」の姿勢が鹿角座の活力となっているようです。

ojou_ruririnお浄&るりりん

●まちかね ta 公演 at 大阪大学
7月30日(火曜日)、大阪大学豊中キャンパスで、鹿角座の野外公演が行われました。
阪大坂を上って行くと、右手に大きな池があります。その池を背に舞台が設えられ、池に臨む階段状のスペースが客席に。とても暑い日でしたが、夕方6時30分の開演時にはお客が詰めかけ、立ち見も出るほどの盛況ぶり。結局、400人が鹿角座の公演を見守りました。
最初の演目「能勢三番叟」では、美少女フィギュア風のお浄・るりりん、二体の人形がそろい踏み。謡と三味線に合わせて言祝ぎの舞いを見せてくれました。
続いては「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」。はるばると母を訪ねてきた9歳の娘と、訳あって名乗れない母親の出会いと別れ。母親・お弓の苦悩がありありと描き出されます。
すっかり陽も落ちて暗くなり、いつしかセミの声も聞こえなくなった頃。最後の演目「日高川入相花王 渡し場の段」が上演されました。安珍を追って川のほとりまでやって来た清姫が、渡し守に乗船を断られ、ついに鬼となり、蛇となって川を泳ぎ渡る場面。カッと牙を剥き角を生やした清姫がざんぶと流れに飛び込み、その背後から一斉に吹き上がる花火!池の対岸、100メートルも離れた場所から青い照明が池の水面を照らし、幻想的な水の世界を浮かび上がらせます。まさにイリュージョン、まさにスペクタクル。壮大な演出に、お客さんも大満足の拍手を送っていました。
クラウドファンディングで100万円以上の資金を集めて実現した、大学キャンパスでの型破りな野外公演。好評につき、またやってほしいとの声も上がっていますが、松田さんいわく「同じことはやりたくない」。常に新しい挑戦を続けてきた鹿角座が、次はどんな形で登場するのか。きっとそれは、予想を上回るものとなるでしょう。

●能勢町は大阪大学のキャンパス!?
結びつきを深めている、大阪大学と能勢町。そのきっかけは、国際演劇学会が浄るりシアターで行われたことでした。
能勢町の独自の文化は、研究対象としても大変興味深いものです。
大学が関心を持ってくれることは、町の活性化にも大きなメリットがあります。
こうして、大阪大学と能勢町は2015年に包括協定を締結。協力し合い、ともに発展していこうとしています。
「能勢町にとって、大阪大学は『私たちの大学』。大阪大学から見て、能勢町は大阪大学のキャンパス。そんな関係が理想ですね」

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