『幸運(しあわせ)の道しるべ』(30分番組)
毎月第1日曜 15:30〜
(再放送:同日夜22:30〜、翌月曜15:30〜)
誰にでもある人生のターニングポイント。
そのとき、何を感じ、どう選択していったのか。
フリーライター・コーディネーター なかむらのり子が、
公私で出会う素敵な方々を毎月ゲストにお迎えして、
その方の人生の転機についてお話を伺っていく対談番組です。
大きな波を起こすものではないけれど、
ラジオを聞く人の心に、小さな道標ができる。
そんな番組をめざしています。
今回のゲストは・・・
泉鏡花文学賞受賞作家・詩人 寮美千子さん
<寮美千子さんプロフィール>
外務省、広告制作会社、フリーランスのコピーライターを経て、
1986年、毎日童話新人賞を受賞、童話作家としてデビュー。
2005年、長編小説「楽園の鳥 ―カルカッタ幻想曲―」で泉鏡花文学賞を受賞。
翌年、東京から奈良市へ移住。
●長年生まれ育った関東から奈良への移住
小さい頃から地方都市に住むことが夢だった寮さん。
高校の修学旅行の時に京都・奈良を訪れたときに、
その思いがさらに強くなりました。
そして、泉鏡花文学賞の受賞をきっかけに、
地方でも仕事ができると考え、東京から奈良へ移住。
「古い文化があり、街がコンパクトで、緑が多く、
自然と文化と暮らしや歴史が一体となって
“生きてそこにある”ということがすごく魅力的だったんです」
と、移住の理由を教えてくれました。
●人生観の変わった奈良少年刑務所との出会い
奈良では古代史や仏教文化に多く出会うだろうと予想していた寮さん。
建物が好きで、建築物を見て歩いていたある日、
明治の名煉瓦建築があるということで訪れたのが、
明治の五大監獄のひとつとして建てられた「奈良少年刑務所」でした。
一般公開日に掲示されていた受刑者たちの作った作品を目にし、
そこで刑務所の方とお話したことがきっかけで、
所内で受刑者に向けた「詩の教室」を受け持つことになりました。
授業は10年続き、多くの受刑者の少年たちが、
その純粋な心の扉を開けて、心を内を詩として表現してきました。
強盗、殺人、レイプ、放火、薬物違反など、その刑は重い受刑者ですが、
多くが育ってきた環境のひどさを抱えてきたことに愕然となります。
親からの育児放棄で、生きるためにコンビニの廃棄食品を食べて命をつなぎ、幼稚園や学校にも行っていなかった子、
父親からの虐待で頭にも大きなキズを負い、ことばがきちんと話せない子など・・・
にわかには信じられない環境で生きてきた子どもたちでした。
そんな彼らが、教室で詩を書き、仲間から感想をもらう中で、
堅い鎧をまとっていた態度や心が、みるみる変わっていったといいます。
それはそれは、本当に見違えるようにー
今まで頑丈に閉ざされていた心から紡ぎ出されることばは、
本当に純粋で、優しさや愛に満ちあふれていました。
誰かひとりでも自分を受け止めてくれる人がいるだけで、
彼らのこれからの人生は、全く違ったものになることは確かです。
そして、変わったのは、彼らだけでなく、
尞さん自身、そして、刑務官の方々もその人生観・死生観が変わる教室だったと振り返ります。
その建物が取り壊されるという話から、保存運動を立ち上げた寮さん。
そして、ついに奈良少年刑務所は、唯一完存する貴重な遺構として、
平成29年2月23日に重要文化財に指定されました。
同時に、3月31日をもって閉鎖されたのです。
<最後となる施設見学会が実施されます>
http://www.city.nara.lg.jp/www/contents/1496047986287/files/tirashi.pdf
●現在の活動
今は刑務所ロスだという寮さん。
心の中にいろいろなものを抱えているのは、受刑者だけでなくて誰でも同じ。
そう考え、街中で詩の教室をはじめました。
ギャラリーで絵を見て浮かんだことばを絵につけ、それをみんなで分かち合う。
絵に詩だから、「えにし」と名付けられました。
全国を講演会で回られている寮さんですが、
作品を通して、講演会を通して、
少年刑務所のこと、ことばの力のこと、
ひとりでも多くの方に伝わることを願っています。
寮美千子さん、ありがとうございました♪
次回の『幸運(しあわせ)の道しるべ』は…
7月2日(日)15:30〜
(再放送:同日夜22:30〜、翌月曜15:30〜)
次回もお楽しみに!
<放送の聴き方>
■ラジオで聴く(FM81.6MHz)
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(文責:なかむらのり子)