箕面の主な活動グループが週替わりでお送りする「まちのラジオ」。毎月第二木曜は、大阪大学社学連携事業。大学と社会のつながりをテーマに放送しています。
今回は、大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻准教授の福田知弘(ふくだ・ともひろ)さんをお迎えし、仮想現実や拡張現実の手法を用いたまちづくりについてお聞きしました。
福田さんは大阪大学のご出身です。当時まだ珍しかった環境工学を学び、都市計画のビジュアル化を研究しました。
卒業後は松下電工に就職。VR(バーチャルリアリティ=仮想現実)の技術開発に携わります。
その一方、「社会人大学院制度」を利用して、再び大阪大学へ。平日は会社、土日は大学で研究するという、それはハードな日々を送りました。
そうして博士号も取得しますが、恩師の教授から「大学で働かないか」と声を掛けられ、大阪大学の教員の道を選ぶことになりました。
福田さんは、箕面市の景観審議会にも参加しています。
都市計画において、「景観」は重要な要素です。
福田さんの研究は、都市計画にVRなどの技術を生かしていくというものです。
新しい建物を作るとき、景観がどのように変わるのか。
図面やイメージ図だけでは補いきれない、任意の視点からの景観予想が、VRなどの技術で可能になるといいます。
その一つが、AR(拡張現実)。
現実の風景にCGを合成することで、実際は無いものがそこにあるかのように見せる…。
昨年、一大ブームを巻き起こした「ポケモンGO」。
これがまさにARだということです。
こういった技術により、地域住民への都市計画の説明が、格段にやりやすくなりました。
福田さんが取り組んだ事例では、鳥取県境港市の「水木しげるロード」リニューアル計画があります。
たくさんの妖怪の像が並ぶ、全国的に有名なこのロード。
リニューアル後のようすは、仮想空間にそっくりそのままロードを再現することで、事前に「見る」ことが可能になりました。全長2キロメートル、幅500メートルの広大な仮想空間…コンピューターの性能が上がり、前までは不可能だった膨大な処理を要するVR空間の描写が可能に。ヘッドマウントディスプレイを装着すれば、まるでその街並みの中を歩いているように感じられます。
こうした技術の発展から、都市計画への住民の理解や、きめ細かな意見の反映など、より良いまちづくりへの効果が期待されます。
そういえば、大阪大学の箕面キャンパスが今後箕面市船場地区へ移転する予定ですが、どんな景観になるのか、それに伴うまちづくりはどのように進められるのか、まさしくVR・ARの出番と言えるでしょう。
「新しいキャンパスにも、ぜひ遊びに来てほしいです」とほほ笑む福田さんでした。