タッキーたんけん隊「箕面・寺めぐり」(3)驪城山安養寺は信長とタメ!?そして「初恋の味」との深い関わりとは?

2018/11/30

annyouji-01法林寺をあとにして、たんけん隊「箕面・寺めぐり」の三カ所目は、牧落にある古いお寺。

驪城山安養寺(浄土真宗本願寺派)

場所は西国街道から北へ50メートルほど、牧落八幡大神宮の東隣にあります。
お寺の由来が書いていある案内板が立てられていて、古くからこの地の信仰の拠点となっていたことが読み取れます。
門をくぐった正面に、大きな親鸞上人の銅像が立っていて、訪問者を出迎えてくれます。
第20代住職の驪城岳門(こまき・たけと)さんに、お寺の由来などをお聞きしました。
「創建は1534年(天文3年)という、古い寺です」
とたんに跳ね上がる、垣内なおみの歴女メーター。
「織田信長の生まれた年じゃないですか!」
それは浄土真宗が広まって行った時期に当たり、同じ頃に創建された寺がこの辺りにはけっこうある、とのことでした。
なお、山号が「驪城山(れいじょうざん)」、住職が驪城(こまき)さんで、山号と住職の姓が同じというのは相当珍しいのではないでしょうか。
「驪」には黒馬という意味があるそうで、古来馬の放牧地として知られてきた牧落との関連が考えられます。annyouji-03annyouji-02annyouji-05
さて、安養寺の歴史は、1717年に火災で焼失の憂き目に遭いますが、再建されて現在に至ります。本堂の建物や、鐘楼の柱などは、再建当時の300年前のものがそのまま使われているそうです。
なお、鐘は戦時中に供出され、現在のものは戦後に新しく購入されました。
年中行事は元旦会(1月)、花まつり(4月)、降誕会(5月)、盂蘭盆会(8月)、報恩講(9月)。大みそかの除夜の鐘は、並んだ希望者が撞かせてもらえます。
本尊は阿弥陀如来立像。江戸期の有名な仏師・渡辺康雲の作と伝えられています。
その他、奥の壁に掛けられた聖徳太子、親鸞、蓮如の肖像画も江戸の頃から、とのことでした。
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●二胡コンサート
安養寺では、本堂でコンサートを開催したりもしています。
二胡奏者・姜暁艶さんによるコンサートは過去に何回か行われていて、今年9月にも鐘楼の改修記念で来られたそうです。
本堂で二胡・・・うーん、いいかも・・・。
どなたでも参加可能とのことで、次はぜひ伺いたいものです。

●「初恋の味」は安養寺発祥!?
カルピスの創業者・三島海雲は、箕面の教学寺出身の人物として知られています。
そのキャッチフレーズは「初恋の味」。懐かしい、大正・昭和生まれのかたならみんな聞いたことがあるのではないでしょうか。
「それを考えたのが驪城卓爾といって、私の大伯父なんです」
驪城住職にとってはおじいさんのお兄さんに当たる人物で、三島海雲の後輩だったそうです。
カルピスが世に出たとき、若き日の大伯父さんは三島海雲を訪ねて
「キャッチフレーズを考えた。『初恋の味』はどうだろう」
それを聞いた海雲、もし子どもに「初恋の味」って何だと聞かれたらどうするんだと問い返します。
大伯父さんは
「カルピスの味、と答えればいい。初恋とは、清純で美しいものだ。それに初恋ということばには、人々の夢と希望とあこがれがある」
こんなやりとりがあって、「初恋の味」は1922年(大正11年)、正式にキャッチフレーズとして採用されました。今と違って「初恋」などと大っぴらに言うこともはばかられた時代、その斬新さもあいまって、「初恋の味」は瞬く間に全国に広まったといいます。
大伯父さんはその後、早くに亡くなりましたが、もし存命なら安養寺を継ぐ予定でした。お寺は孫の代の驪城さんまで受け継がれ、「初恋の味」は人々の記憶に今なお生き続ける・・・。
意外な歴史の一端を、ここで垣間見ることになろうとは。
収穫の「箕面・寺めぐり」となりました。annyouji-06