タッキーたんけん隊「大阪大学箕面キャンパス移転工事&北急延伸工事現場をたんけん!」(2)地下迷宮のシールドマシン!北急延伸工事現場

2019/09/30

tankenB-1船場東COM3号館から歩いて5分ほど。今回のたんけん隊、移動はかなり余裕があります。2番目の目的地は、北大阪急行の延伸工事現場。新御堂筋の南行き側道を歩いていくと、右手の道路上には鉄骨フレームの仮設の建屋、左手には白い壁のプラントヤード。その前で、工事関係者のみなさんが出迎えてくれました。
ちょうどこの場所が「箕面船場阪大前駅」の予定地。地下ではすでにトンネルの掘削も始まっています。
貸してもらったヘルメットをかぶって、地上の入口から急な階段を地下へ。一足ごとにギシ、ギシと揺れる感じです。tankenB-2tankenB-03 中は長く伸びた地下空間で、赤茶色のH鋼の柱が林立し、その間を縫うように足場が渡されて通路となっています。上を見上げると、天井部分の鉄板は道路面の裏側で、大型車が通過するたびに轟音が響き渡ります。地下とはいうものの、横手は新御堂筋本道沿いの開口部となっていて、すぐ横を車がびゅんびゅん通り過ぎて行きます。
 足場通路は、鉄パイプに針金で結わえてあるだけのもので、体の重みでグヮンとたわみ、かなり不安定。中に入ってからも相当の距離、数百メートルは歩いたでしょうか、ようやく目的地のB2(地下2階)にたどり着きました。tankenB-04tankenB-06 新駅の構内は、地下1階~3階までの構造になるようです。地下1階は改札階、3階はホームと線路。その中間の地下2階は機械室に当たります。その端から見下ろす開口部に、大きな鉄の円筒が鎮座していました。
「これがシールドマシンです」
トンネルを掘るためのシールド工法は、シールドマシンの前面に掘削カッターを取り付け、少しずつ掘り進みながら円筒ごと移動していくというものです。シールドマシンは、トイレットペーパーの芯を半分にしたぐらいの形で、直径7メートル。掘った土は芯の内側から、ダクトを通して地上に送られて処理されます。掘削済みの部分はコンクリートパネルで壁面を形成し、それがそのままトンネルの壁になります。
一口にトンネル工事といっても、地層の固さ・柔らかさは千差万別なため、シールドマシンはそのたびに設計・製造される一品ものだといいます。今回の工事では上り線・下り線用に、2台が投入されました。東側の1号機は試運転を開始し、10メートルほど掘り進んだ状態。眼下の2号機は発進に備えて待機中で、10月以降に本格稼働していく予定です。tankenB-09シールドマシン。左側の1号機は10メートル掘り進んで地中にあり、コンクリートパネルの壁面が形成されている。右側の2号機は待機中

tankenB-11シールドマシンの内部。この奥がカッタービットが取り付けられた前面。掘った土は、右上に見えているオレンジ色のダクトを通してポンプ圧送される

tankenB-12左の制御室は、シールドマシン本体と連結され、一緒に移動する。床面には移動用レールがある

中継では、次のみなさんにお話を伺いました。
・岩橋輝幸さん(北大阪急行電鉄延伸事業部主任)
・酒本博さん(阪急設計コンサルタント工事監理部専門役)
・田中敬二さん(熊谷組・フジタ・森組特定建設工事共同企業体 北大阪急行線延伸シールド作業所所長)tankenB-07tankenB-10<シールド工事の深さ>
現在の地点で地上から30メートル

シールドマシンの制御パネル

シールドマシンの制御パネル

<工事で大切なこと>
既存の建物などに影響を与えないようにすること。そのためには綿密な施工計画を立てることが重要で、シールド工事の成否はその計画次第と言っても過言ではない。

<トンネル開通予定>
1号機が千里中央に到達するのは2020年3月、2号機はその1カ月後

<作業員数>
作業員・現場監督で、現在60人。2台とも稼働すると90人程度になる予定

<安全対策>
熟練工を全国から集め、事前に教育を施し、安全対策を徹底している

<達成感を感じるのはどんなとき?>
酒本さん「トンネルが貫通したときですね」
田中さん「電車が通って、市民のかたに利用していただくようになったときですね」
岩橋さん「地域のみなさんの利便性が高まって、北急の企業理念『地域と共に伸びる』が達成されたときだと思います」

鉄道のシールド工事は最近では珍しく、関西では2009年開通の阪神なんば線以来10年ぶりとのことです。
「地上のプラントヤード前に、トンネルの進捗状況を図示しているので、ぜひ見てほしいです」

tankenB-08tankenB-14プラントヤード(掘った土を処理・搬出)
滅多に見られない、地下のトンネル工事現場からの中継は、たんけん隊にとってもエキサイティングな経験でした。
やぶた「まるで『プロジェクトX』みたいでしたね・・・!」
帰路はまた延々と、揺れる空中回廊を通って、ようやく地上へ。
ぷはー、戻って来たー!
なんだか、異世界から日常空間へ帰って来たような感覚。文字通り「探検」を堪能したひとときでした。tankenB-15