
今回は、特別ゲストが3人!
・時広真吾(ときひろ・しんご)さん(衣装デザイナー・演出家)
・樋口政司(ひぐち・まさし)さん(写真家)
・三寺碧(みてら・みどり)さん
きっかけは、どっこい三味線の篠山さんが出会った舞台写真。人物の動きが指先まではっきりと鮮明に、見たことのないほど鮮やかな写真でした。
撮影したのが写真家の樋口さんで、その舞台衣装をデザインしたのが時広さんだったというわけです。
舞台衣装家であると共に他にもパフォーマンスや詩を書いたり、作曲したりと多才な時広さん。現在手掛けている「美の種」のプロジェクトは、これまで全国9カ所で実施されました。
「その土地の美しき歴史と人々に捧げる」というテーマで行われるパフォーマンスの舞台。
まちの人が意外に知らない、地元のアーティスト。その存在を知り、育ててもらえるように・・・との思いで、そのまちの歴史を基に構成し、地域ゆかりの人々が時広さんの衣装を着てコラボします。
アーティストのジャンルも多彩で、生け花や詩人などもステージに。
「育てていく喜びがあります」と時広さん。これをきっかけに、全国区へ羽ばたくようなアーティストに育ってほしいという願いが込められています。
アーティスト同士が共演を通じて知り合い、ユニットを結成する例もあるそうで、アートの新たな可能性が紡ぎだされる場となっています。
若き日の時広さんは、日本画家志望で芸大をめざしていましたが、浪人中にディスコにはまって受験に失敗。普通の大学の国文科を卒業後、フリーのジャーナリストとしてパリコレなどの取材を手掛けていました。
そんなとき、あるファッションショーで知らない人から
「あなた、いつも面白い恰好してるね。衣装デザイン、できるんじゃないの?」
この一言が、時広さんをデザインの世界へ誘うことになりました。
最初に手掛けたのはモーツァルトの「魔笛」。
東洋人が演じる場合、西洋式のドレスはもう一つしっくりこない。
東洋人に合うデザインをさせてくれるなら・・・という条件で引き受けたそうです。
「能楽堂で観せるシェイクスピア」シリーズでは、藤間紫さん、白石佳代子さんの衣装を製作したことで、デザイナーとして知られるようになりました。
古典などの舞台の場合は、稽古が始まる前に衣装を作ってしまうことも。
出演者の顔合わせのとき「えっ、もうできてるんですか?」と驚かれるそうです。
かつて一緒に仕事をしたロシアの演出家は「トキヒロにジェラシーを感じる」。
時広さんの衣装を着た途端、役者の表情が一変したといいます。
衣装の持つ力がわかるエピソード。
ごった煮座のみなさんも「ぜひ時広さんに衣装をお願いしたい!」
昔の公演でごった煮座がやった「魔笛」、王子役の柴田さんがはいていたのは白い革のロングブーツ。じゃなくて、白のゴム長・・・。
「それ、調理員さんとかがはいてるやつやん!」
こんなネタで大盛り上がりの関西ノリに、時広さんも思わず苦笑い。
ともあれ、楽しいトークのひとときとなりました。