箕面の主な活動グループが週替わりでお送りする「まちのラジオ」。毎月第二木曜は、大阪大学社学連携事業。大学と社会のつながりをテーマに放送しています。
今回は大阪大学医学系研究科ツインリサーチセンター特任准教授・本多智佳(ほんだ・ちか)さんをお招きして、お話を伺いました。
(聞き手:大阪大学21世紀懐徳堂学生スタッフ 桑江良周さん)
本多さんは大阪生まれの大阪育ち。大学では「人の健康を守りたい」という気持ちから医学系研
究科で保健学を専攻し、卒業後は保健師として大阪府内の保健所に勤めます。
そうして働く中で、研究への思いが高まり、アメリカ・テキサス州の大学へ留学を決意。再び学生として、そして研究者としての道を歩き始めました。
本多さんが現在所属する大阪大学のツインリサーチセンターは、双生児の研究を専門的に行う研究所です。
●双生児を研究することで、どんなことがわかりますか?
「例えば病気の研究です。遺伝子が異なる別人同士を比べても、何が病気の要因かはわかりません。それが一卵性双生児だと、遺伝的背景や環境が揃うため、病気の要因が絞り込めるんです」
例)
虫歯…双生児はかかり方がかなり一致する(遺伝的要因が高い)
歯周病…双生児でもかかり方にズレがある(後天的要因が影響する)
なるほど、確かに双生児が同じ年頃で同じ病気にかかったら、それは遺伝子由来の可能性が考えられますね。
本多さんの研究テーマは、高齢女性の骨粗鬆症について。女性の双生児に協力してもらい、骨密度などのデータを定期的に測定してます。何十年というスパンの、とても気の長い調査になりますが、保健師時代に接した人たちとの経験から「みなさんを元気にしてあげたい」という思いで取り組んでいるそうです。
●双生児研究で苦労する点は?
「協力してくれる双生児のかたたちを探すのが、けっこう大変ですね」
現在、双生児研究の先進地である北欧では、政府が国民のデータを一括管理しており、研究者は容易にその情報にアクセス可能だといいます(もちろん個人情報は伏せた状態で)。
日本では、研究者がそれぞれ双生児を探し出して、その上で協力をお願いしているということで、データの母数は雲泥の差があります。
そこで、大阪大学ツインリサーチセンターでは、双生児の交流や情報発信を目的とした「ふたごフェスティバル」を開催しています。研究に協力している双生児のみなさん数十組が一堂に会するのは、まさに壮観。とても楽しいイベントだということです。
双生児研究は、いろいろな病気の謎を解き明かすためにとても有効な手段です。
そのためには、なるべく多くの双生児のみなさんに協力していただく必要があります。
「協力してもいいよという双生児のかたは、ぜひ大阪大学ツインリサーチセンターまでお知らせください!」