しあわせの道しるべ:第55回(4/12放送)平岡祐子さん(猟師・シカ肉料理研究家・発酵マイスター)

2020/04/12

『しあわせの道しるべ』(30分番組)

第2日曜 15:30〜
(再放送:同日夜22:30〜、翌月曜15:30〜)

誰にでもある人生のターニングポイント。
そのとき、何を感じ、どう選択していったのか。

フリーライター・コーディネーター 中村のりこが、
公私で出会う素敵な方々を毎月ゲストにお迎えして、
その方の人生の転機についてお話を伺っていく対談番組です。

大きな波を起こすものではないけれど、
ラジオを聞く人の心に、小さな道標ができる。
そんな番組をめざしています。

今回のゲストは・・・
猟師・シカ肉料理研究家・発酵マイスター
平岡祐子さん

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平岡祐子さん プロフィール>
大阪市生まれ 枚方育ち
シカ肉料理教室&発酵ワークショップ「ぽけっと」主宰
シカ肉料理教室・シカ肉体験会・シカ肉BBQ・生き残りのお話会・発酵講座・発酵料理教室・季節の手仕事会など主催


<自己紹介>

⼈⽣において重要なのは【⽣きる⼒を育む事こと】と認識。

⾃然に沿った暮らしの⼤切さを改めて実感したことから、現代社会とのバランスをとりながら、出来るだけ昔ながらの暮らしの知恵を取り入れています。
⽇本の発酵⾷や保存⾷のすばらしさにも 改めて感激。
微⽣物について勉強と実験を繰り返すのが趣味。

生き残りたい・生き抜きたい人。
作れるものはなるべく手作りしています♪
不自然な事がきらいで、野生の勘、ハラワタの声・本能を大切にしています。

教室では家庭での再現性を重視。自身も子育て中のため、忙しい家庭の主婦が簡単に美味しく食べられる料理レシピを提案。

「シカ肉って美味しいよね」って言うと「ね〜」って返事が聞ける世界になってほしいと願っています。

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●栄養価抜群の鹿肉

4年前までは、専業主婦だった平岡さん。

2歳の息子さんの育児に追われる日々の中、生きる力を育むことをテーマに、鹿肉料理教室や発酵マイスターという資格を生かした講座を開催されています。
シカ肉料理教室&発酵ワークショップ「ぽけっと」(場所は枚方市駅から徒歩5分♪)

鹿肉講座に来られる方は、牛肉にアレルギーのある方、抗生物質や添加物を気にされる方など、健康に意識の高い方が多いそうです。

<鹿肉の栄養素>
たんぱく質:牛肉の約1.7倍
ミネラル:貝と同等程度
鉄分:牛肉レバーと同等以上

金属探知機が誤作動するくらいの鉄分料!というから驚きです!
しかも、「牛レバーと鹿レバー」ではなく、「牛レバーと鹿肉」が!
その他、青魚に含まれることで知られるDHAも入っている!
鶏ささみよりも少ない脂肪!

知りませんでした・・・鹿肉の栄養素のすごさ!

貧血気味、冷え性、授乳中の女性などには、ぴったりの食材だったんですね。

家畜肉に比べて、ストレスもない、薬も使っていない肉を食べることは、健康にも良い方向に向かうのではないかと平岡さん。
「肉を選ぶひとつの選択肢として、普及して欲しいです」

●農林水産大臣賞を受賞!

おじいちゃんが猟師だったこともあり、小さい頃から鹿肉を食べていた平岡さん。鹿肉は本当にやわらかくて美味しくて、食べ過ぎるくらい美味しかったのだそうです。

ジビエは食中毒やE型肝炎の危険があるので、生食は避けるようにと厚生労働省の指導があります。イノシシや鴨など、他のジビエ料理は火を通すものがほとんどの中、鹿肉は最近まで生で食べる文化がありました。

ジビエ肉は処理のスピードが重要で、処理工場でいかに早く確実に処理できるかにかかってきます。ナイフの使い分け、消毒など、多くの工程を経て、安全で美味しいジビエ肉が食べられるわけです。

現在、野生の鹿が増え過ぎていて、市民生活にも危害を及ぼすようになっています。そこで、猟友会は駆除を依頼されるのですが、駆除した頭数の9割は廃棄処分。
ほとんどの命が廃棄されるのです。

そこで、少しでも多くの人に栄養満点で美味しい鹿肉を食べてもらえればという想いもあり、活動を始められました。

そして!
その活動が実を結び、2019年「日本ジビエサミットin東京」内で「第4回ジビエ料理コンテスト」農林水産大臣賞を受賞!

工程もシンプルで、実食審査でもおいしい鹿肉料理レシピだったことが、高評価されての受賞となりました。

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↑【農林水産大臣賞】「棒棒鹿(バンバンロク)」レシピブック

●ハンターになったきっかけ

平岡さんがハンターになったきっかけは、おじいちゃんのひと言でした。
以前、働きすぎて体調を崩したとき、食を見直す機会がありました。調味料を変えたり、野菜を変えたりし、では肉はどうしようとなります。

そこで、昔、猟師のおじいちゃんが鹿肉をたくさん食べさせてくれていたことを思い出した平岡さん。おじいちゃんに頼みます。

「おじいちゃん。もう一回食べたいから鹿肉獲ってきてよ!」
「わしはむりやから、自分で行け。山に行けばおるから自分で獲ってこい」
「どうやって獲ったらいいの?」
「免許取ってやったらええねん」

ということで、狩猟免許を取得!ハンターとなったわけです。

すごい行動力!(笑)

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●命をいただく

ハンターになって、生きている命をいただく。死生観もがらりと変わりました。
「死は誰にでも訪れるもの。それを見ないようにするとか、考えないようにするのは不自然なことだと感じます。死なない人はいません。何かの命を奪って自分が生きている。それを感じることが一番大事なんじゃないかと思うようになりました」

●週末ハンター

狩猟期は、週末に息子さんをご主人や実母に預けて山に入る「週末ハンター」なのだとか。おうちの冷蔵庫も鹿肉でいっぱい。
鹿肉レシピだけでもざっと50レシピを考案し、毎日の食卓にも鹿肉が並び、2歳の息子さんもやわらかくておいしい栄養満点の鹿肉を食べているそうです。

平成23年度のデータでは、兵庫県内に14万頭が生息、毎年3万頭増えると言われています。獣害被害も深刻です。だからこそ、仕留めた鹿の命をできるだけ人の命につなげられるよう、鹿肉料理を広めています。
鹿肉は日本の発酵食品とも相性がよいそうで、発酵教室も併設して活動されているのです。

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●足るを知る

あるもので何とかする能力。猟師は高いと言われています。今回のトイレットペーパー買い占めなどを見ても、奪い合いの世の中ではなく、想像力を働かせ、物事の本質を見る力、生き残る力というのが、低くなってきているのではないかと懸念されています。

シカ肉料理教室&発酵ワークショップ「ぽけっと」では、普段から命の話のほか、発酵食品などを自分で作れば、災害時の保存食・備蓄食にもなるし、免疫も上げられるということも伝えておられます。


平岡祐子さんからの“道しるべ”メッセージ】

岐路に立ったときは「迷うくらいならやってみる」精神で。提案していただいたことに興味を持ったら、フットワーク軽く「とりあえずやってみる」。このことを大事に、やりながら考えています。

ピンと来たらすぐ行動!これを基本にしたいですね♪(^_^)

平岡祐子さん、ありがとうございました♪

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次回の『幸運(しあわせ)の道しるべ』は…

 5月10日(日)15:30〜
 (再放送:同日夜22:30〜、翌月曜15:30〜)
次回もお楽しみに!

(文責:中村のりこ)