しあわせの道しるべ:第65回(3/14放送)中村のりこ(スプラッシュ代表)

2021/03/14

『しあわせの道しるべ』(30分番組)

2日曜 1530
(再放送:同日夜2230〜、翌月曜1530〜)

誰にでもある人生のターニングポイント。
そのとき、何を感じ、どう選択していったのか。

フリーライター・コーディネーター 中村のりこが、
公私で出会う素敵な方々を毎月ゲストにお迎えして、
その方の人生の転機についてお話を伺っていく対談番組です。

大きな波を起こすものではないけれど、
ラジオを聞く人の心に、小さな道標ができる。
そんな番組をめざしています。

今回のゲストは・・・
スプラッシュ 代表 中村のりこ ←私自身です(^^)

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中村のりこ プロフィール>

スプラッシュ代表。フリーライター、コーディネーター。
大学卒業後、広告代理店にてコピーライターとして勤務。
結婚退職後、専業主婦5年を経てフリーランスとして仕事再開。
開局したばかりの「タッキー816みのおエフエム」にも関わる。

33歳の時、力試しに受けた留学支援プログラムに合格。
奨学金を得て、当時5歳と7歳の子供たちを伴って1年間の米国留学を経験。

45歳「乳がん」手術。自らの乳がん体験から、医療・健康分野の企画取材にも尽力。
年間100名近い医療者・経営者取材を行うなど、機動力を活かした企画・執筆・コーディネートに定評あり。
プライベートでは、がん患者サポートNPO「I FOR YOU Japan」でも活動中。

2012

『想いびと2012』 フォーラムにも登壇させていただきました


 書籍『想いびと2012』の中に掲載いただきました


こんにちは中村のりこです。
やっと春の陽気が感じられる季節となってきましたね。
私はフリーライターとして、ときにはコーディネーターとして
これまで素敵な方々に出会ってきました。

この番組を始めた2015年10月から5年半の間にも
多くの方をゲストにお迎えしてきましたが、
ラジオでの放送は今回が最後となります。

そこで最後にご紹介する方は、どなたがいいかなぁ…と考えていたのですが、
よく考えたら自分自身の人生のターニング・ポイントがまだだった…と気づき、
今日は私自身の人生の転機をお話しさせていただきたいと思います。

●33歳子連れ留学「さあ大変!」

コピーライターとは別に、小学館で児童英会話教室の講師もやっていた30代。
この英語講師のリストに、ある日、奨学金試験の案内が届きます。
力試しに受けてみよう!と思って気楽な気持ちで受験。
選考が進むうちに「社会人代表として行ってきてください」
奨学生に選出されてしまったのです!

さあ大変!
実際に留学することを想定せずに受けているので、
家のことどうしよう、子どもの学校どうしよう、手続きどうしよう…
出発まであと約2ヶ月しかない!
子どもは置いていけないし、連れていくしかない!
バタバタと準備して、夫と離れて1年間の子連れ留学となりました。

「この運命の女神の後ろ髪をつかんでしまわなければ、次にチャンスはない!」
その想いが、私にこの大きな決断をさせました。

まさにこの1年間というのは、密度の濃い1年間でした。
人生観も変わったし、何より日本の外から日本を眺めて、日本の良さを再確認できる機会にもなりました。

考え方も細かいことにこだわらなくなったのでした(笑)。元々か・・・w
さらにアメリカナイズされて帰ってた私に驚いた人も多かったかも。
(緑のカラコン、金髪、ショートパンツという私の姿が記憶に残っている方もいるのでは?笑)

多国籍、多様な文化、違う価値観のるつぼ。
日本で身につけてきたものとは違う世界を肌で感じ、柔軟な視点を得た1年でもありました。

アメリカは何より銃社会です。
子どもたちを現地の幼稚園と小学校に送り届ける間にも注意しなければ行けないことも多く、毎日が治安アンテナ立てっぱなしの日々でした。

スーパーに行けば、誘拐された子どもの顔写真が載った「missing」と書かれた牛乳パックがずらりと並んで売っている。
これだけ誘拐されている子供が多いのか・・・と愕然としました。

出かける時には、必ずリュックを背負って
左右の手で二人の子どもの手を握り
子供たちの安全には注意を払いました。

まさに個人主義、自己責任の国ですから
学業以外にも、色々と学ぶことも多かったです。

帰国後は、平和な日本の良さや文化を改めて感じることができ、さらに人生が充実したものになっていきました。

この留学で学んだ事というのは「迷うならやってみよう」ですね。
多分この時に留学しなかったら、やらない後悔が一生あとを引くと思ったんです。
「やった後悔」より「やらない後悔」の方が結構きついだろうというのも容易に想像できたので、腹をくくってジャンプしたわけなんですけど…
確かに周りには大変な迷惑をかけた部分もあり、深くお詫び申し上げます。
が、後悔はしていないです(^^)

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乳がん告知「今日はおひとり?」

45歳の時に乳がん告知を受けたことは、大きな大きな第二の転機でした。
検査結果を聞きに行った時のこと。
看護師さんに「中村さん。中村典子さん」
呼ばれて立ち上がった時に、
「今日はおひとり?」そう聞かれたのです。

—あ、ひとりじゃダメだったんだ。そういう結果が出てるんだ。
そう悟りました。

私は割と冷静な方なのですが、診察室に入るまでの2メートルの距離が、まるで雲の上を歩いているようにふわふわして、頭が真っ白になったことを今も覚えています。
どこか他人事でもあり、「地に足が着かないってこのことか」なんていう自分もいて。

人生には自分でも思いもよらなかったことが起こったりすると思うのですが、まさに病気や事故もそう。

でもね、がんって「キャンサーギフト」と言われるぐらい、色々なことを学べるものだと思えたのです。

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●キャンサーギフト

私が手術で入院したのは5日ほど。
その間に、家族や友人がお見舞いに来てくれました。
今日は、高校3年生だった息子が学校から帰宅後、
お見舞いに来てくれるという日。

事前に来てくれることを知っていたので、タオルを1枚持ってきて欲しいことを電話しました。
「わかった」
母親との会話もそう多くはない高校男子。
病室に持ってきてくれたタオルを受け取ったとき、
泣きそうになりました。
彼が持ってきてくれたタオルは、
家の中で”一番柔らかいタオル”だったからです。
今もその時のことを思い出すと、ウルウルしてしまいます(;o;)

そして、抗がん剤治療も始まり、脱毛し始めている私の病室に来た夫が、短く刈り込まれた頭を撫でながら,こう言ったのです。
「髪型おそろいにしたよ」と・・・。
もう言葉はありませんでした。

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そういう体験は、何かないかぎり、自分では実感できないものですから、本当にキャンサーギフトだったなぁ・・・と心から感謝しています。

がんに限らず、色々な出来事というのは、自分に対して必要なことしか起こらないと思っています。
今、マイナスだと思えるようなことが起こっていても、必ず後でプラスになったり、自分の糧になるものだと思います。

今、私は年間100人近い開業医・経営者の方などにインタビューをさせていただいているのですが、それもこれまでこの経験があったからこそ。
患者視点を持てるようになったこともあり、医療現場の取材も増えてきました。

「越えられない山は現れない」という言葉もありますが
本当に人生で無駄なことなどないなぁ・・・本当にそう感じますね。

色々なことをしたり、体験したことは、人生の点。
「今残している点と点は、いつかつながり線になる」

これは、2005年にアップルの創業者スティーブ・ジョブズが、スタンフォード大学卒業式で話したスピーチの中の言葉です。

そこではジョブズはこんなことを話していました

「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから我々は、いまやっていることが、いずれ人生のどこかでつながって、実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…何にせよ、我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います 」

本当に点と点は、後になって振り返ると線になっていたり、自分で客観的に見てつなぎ合わせることができたりするものだと思います。

今、無駄に思えるようなことも、今、100%でなくても、
一生懸命目の前のことをやっていくと、それが確実につながり道になる。
まさにそうだと実感しています。

2020年も、大学看護学部100名以上の方にも講義をさせていただく機会を得ましたが、これもまさに乳がん体験があったからこそのものでした。

だから、意味がないと思えることでも、一生懸命やっていれば、必ず道はつながっていくのではないでしょうか。

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●紹介したい曲があります

これは私自身の応援歌でもあり、
岐路に立つ全ての人に贈ります。

信じることをあきらめないで
進むことを諦めないで
そんな歌詞に勇気をもらえる曲です。

「半崎良子/明日へ向かう人」

 

【中村のりこからの道しるべメッセージ】

走りながらでもいいから進んで行く。
けれど、しんどい時もある。
そんなときは、立ち止まってもいい。
時には後ろを振り返ったり、腰をおろして休憩するのもいい。

そうやって、少しずつでも歩んで行ったら
新しい花が道端に咲いているのを発見したり
旅人が向こうから来て、新しい出会いが生まれたりする。
そう思っています。

だから「迷ったらやってみる!」
「やらなければよかった」という後悔より
「なぜあの時やらなかったんだろう」という後悔の方が一生引きずると、私は思うので、迷ったらやってみるのもひとつの選択肢にしてくださいね。

石橋を叩いてやって行くのか
一気にジャンプするかのように飛び込んじゃうのか
それは、その人それぞれのやり方で・・・

人生のターニング・ポイントって
なかなか刺激的でいいじゃないですか。
自分に起こることは全て自分の糧になる!
そう思って吸収していきたいですから♪

これから春になって新たなスタート地点に立つ方も多いかと思います。
色々不安もあるかと思いますが、人生は長いようで短い旅です。
人は幸せになるために生まれてきてるのです。
絶対にそう思います!

好きなように生きて、楽しんで、美味しいもん食べて、人生をたっぷり楽しむ時間を”道しるべ”にして進めば、全部OK!!!

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これまで番組制作にご協力頂きました
ゲストの方々、スタッフの方々、リスナーの方々。
みなさんの人生にハッピーがたくさんあふれますように!

これまで「しあわせの道しるべ」をお聴きいただきまして
本当にありがとうございました♪

愛と感謝を込めてー

中村のりこ

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【♪放送された音源はこちらをクリック♪】

(文責:中村のりこ)