まちのラジオ第2週 デンマークの科学絵本『フィン・フォトンさんと量子力学』を翻訳出版!

2021/05/13

handai_210513-1箕面の主な活動グループが週替わりでお送りする「まちのラジオ」。毎月第二木曜は、大阪大学社学連携事業。大学と社会のつながりをテーマに放送しています。
今回のゲストは・・・

田辺欧さん(大阪大学大学院言語文化研究科言語社会専攻 教授(デンマーク語専攻))
勝矢博子さん(大阪大学日本語日本文化教育センター 事務補佐員)
肥後楽さん(大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)特任研究員(常勤))

デンマーク語専攻の教授と卒業生をお迎えして、翻訳出版された書籍についてご紹介いただきました。
(聞き手:タッキー816スタッフ 野間耕平)


デンマーク語専攻が設立されたのは、1966年(当時の大阪外国語大学)。
それには、デンマークの生んだ偉大な思想家の存在が関わっていました。
その名は、キェルケゴール。
当時、世界的なブームとなっていたその著作を、原語で研究できるように・・・というのが設立のきっかけでした。
教授の田辺さんの研究分野は、童話作家のアンデルセンや、女性作家のブリクセンなど、デンマークを始めとする北欧文学・児童文学について。
勝矢さんは田辺さんのもとで学び、昨年の卒業時には、特に優秀で大学に貢献した学生に贈られる「デンマーク語専攻50周年記念賞」「外国語学部長賞」を受賞しています。

●科学絵本『フィン・フォトンさんと量子力学』
その勝矢さんに、翻訳の依頼が舞い込みます。
デンマークで出版された、子ども向けの科学絵本『フィン・フォトンさんと量子力学』。
ガチョウ村に暮らす、量子力学が大好きなフィン・フォトンさんが繰り広げる愉快な騒動を通して、量子力学の手ほどきを自然に受けられる内容だといいます。
小学生以上を対象にした絵本で、わかりやすく書かれているとはいえ、本来は理系中の理系ともいうべき分野。翻訳に当たり、勝矢さんは量子力学に関する本を読み込むなど、苦労も多かったようです。
そのかいあって、2020年12月に無事出版の運びとなったこの作品。
「梅田の大型書店でも並べられていて、思わず涙が・・・」と勝矢さん。
6月にはオンラインで本を紹介するイベント、7月には「箕面国際フェスティバル」のときに船場図書館で読み聞かせイベントも現在企画中とのことです。
また、フィン・フォトンさんシリーズはデンマークで第3作まで刊行されており、「次の作品もぜひ翻訳したい」と意欲を見せる勝矢さんでした。

●hyggelig(ヒュゲリ)なデンマーク語専攻
デンマーク語専攻は1学年20人程度と少人数で、アットホームな雰囲気だといいます。
「それを言い表すには、hyggelig(ヒュゲリ)という言葉がピッタリですね」
日本語に訳すのはちょっと難しいけど・・・言うなれば
「冬の夜にろうそくを灯して、その周りに家族や友人などが集まり、穏やかにくつろいで過ごしている」
そんなイメージだそうです。
「そうですよね、欧(うた)先生・・・あっ、じゃなくて田辺先生」
あわてて言い直す勝矢さん。
ベテランの教授が下の名前で呼ばれる、そんな様子がふだんのデンマーク語専攻の雰囲気を表しているようで、ほほ笑ましいできごとでした。
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●大石版に刻まれたデンマーク語
大阪大学箕面新キャンパス1階のエントランスには、25の言語を刻んだ大石版がそびえています。それぞれの専攻語で、後世に伝えたい言葉が選ばれており、新キャンパスのシンボルともいうべきもの。
デンマーク語では、何と書かれているのでしょうか。

“Livet forstås baglæns, men må leves forlæns”
人生とは振り返ってはじめて理解されるものだが、
前を向いて生きねばならない。
(キェルケゴール)

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ちょくちょく振り返ってみたくなるのが、人生というもの。
でも過去の栄光や挫折、黒歴史や白歴史に捉われずに、これからをどう生きるか。
それが大切なんだよ・・・。

デンマーク語専攻設立の”恩人”ともいうべきキェルケゴールが、世の人に遺してくれた言葉。
学生たちはこの言葉を胸に、新しいキャンパスで勉強に励むことでしょう。

大阪大学外国語学部デンマーク語専攻ホームページ

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デンマーク発祥のレゴで、デンマークの国旗を作ってみました。
田辺さん・勝矢さん「しまった!番組で言えばよかった・・・!」