まちのラジオ第2週 プラスチック・ラブ!宇山浩教授

2022/01/13

machi_220113a箕面の主な活動グループが週替わりでお送りする「まちのラジオ」。毎月第二木曜は、大阪大学社学連携事業。大学と社会のつながりをテーマに放送しています。
今回のゲストは・・・

宇山浩(うやま・ひろし)教授(大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻高分子材料化学領域)

海洋生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックを始め、プラスチックに関するあれこれをご紹介いただきました。
(聞き手:タッキー816スタッフ 野間耕平、大学2年生 ニックくん)

プラスチックひと筋の研究生活を送ってきた宇山さん。
この道に入ったきっかけは?

「じゃんけんで負けまして」

えっ、じゃんけん!?
大学時代、研究室を決めるときはそもそも別の研究がしたかった。
希望者が多かったのでじゃんけんで決めることになり、勝負に敗れた宇山さんは仕方なく(?)現在へとつながるプラスチック研究の道を歩むことになった・・・。
あのとき、もし勝っていたら。
当然、その先にはまったく違う未来があったはずです。
ささいなことが、人生の大きな岐路になる。その好例と言えるでしょう。

改めて周りを見渡せば、プラスチックは私たちの暮らしに欠かせないものだということがすぐにわかります。
家電や家具、生活用品から建材、衣服まで。
もしプラスチックがこの世から消えてしまったら?
例えば食品の包装ひとつとっても、プラスチックでないものを探す方が難しいぐらいです。
代わりに、山から大きな葉っぱを取ってきて食品を包みましょうか?
とてもそれでは現在の流通には耐えられず、経済活動はマヒ。暮らしは江戸時代に逆戻り・・・。
やっぱりプラスチックを無くすのは、到底無理というものです。

安価で、大量生産・使い捨てが可能。
プラスチックのその性質が、世界の経済発展に大きく貢献してきました。
一方で、それは廃プラスチックの環境問題を引き起こしています。
自然界で分解されず、長い間残り続けるプラスチック。
2050年には、海の廃プラスチックの総重量がすべての魚の重さと同じになる、というショッキングな試算もあります。
原因のひとつに挙げられるのが、リサイクルの難しさ。
同じ種類のものを集めることがリサイクルの原則ですが・・・
「食品の包装でも、ひとつの製品に異なる種類のものが使われていたりするんです」
また、プラスチックは見た目での判別が困難だとも。
「私でも、見ただけではわからないですね」
えっ、プラスチックの専門家をもってしても?
これでは、一般人には到底、種類ごとに分けるのは無理というもの。
だからといってこのままでは、環境中に廃プラスチックが増え続ける一方です。
そこで開発されたのが「海洋生分解性プラスチック」。
微生物の働きで、海の中で分解されることが確認され、製品化もされています。
廃プラスチック対策には一つの光明と言えそうです。
とはいえ、現状ではプラスチックの総生産量に対して、その量は微々たるもの。
性能面でも、ポリエチレンやポリプロピレンといった定番プラに比べると、まだまだ改善の余地があるとのことで、今後の研究が待たれます。

今回は、リスナーのみなさんにもプラスチックを楽しく知ってもらおうということで、宇山さんに考えていただきました。
「プラスチッ・クイズ!」

【問題】家庭で食品を入れておく半透明の容器と同じ素材のプラスチックはどれでしょうか?

(1)クリアファイル
(2)サージカルマスク(不織布)
(3)ペットボトルのキャップ(通常の硬めのもの)

回答者は、大学生のニックくん。
「僕は工学部ですからね、自信ありますよ。(3)のキャップでお願いします!」

宇山さん、正解は?

「実はこれ、いじわる問題なんです。正解は、全部ポリプロピレンなんですよ」

なんと。クリアファイルはわかりますが、不織布のマスクも実はプラスチックだったとは!
コロナ禍で今やみんなが毎日着けるようになったマスクを始め、医療従事者の衛生手袋や衣服など、人類がコロナウイルスと戦う上で、やはりプラスチックは欠かせません。
環境問題は大きな課題ですが、まずはプラスチックをよく知ること、その上でプラスチックとどう付き合っていくのか。みんなで考えていく必要がありそうです。

宇山さんからのリクエスト曲は、竹内まりや『プラスティック・ラブ』。
「やっぱり、人生をかけて追い求めてきたものですから。このタイトルは、私の心情そのものです」
プラスチックへの愛が、宇山さんの言葉の節々から伝わってくる、そんな番組収録となりました。
(ちなみに、歌の内容はプラスチックとは関係ないそうです)

宇山研究室のホームページmachi_220113b