クラフトビールの醸造から販売までを手がけ、ビアジャッジの資格を持つ谷和(たに・あい)と、旅のプロ・風間佳成(かざま・よしなり)がクラフトビールの魅力や最新の話題などを語ります。
2022年5月の『ブルワリー探訪』は、僕も和ちゃんも大好きな三重県伊勢市・伊勢神宮の近くにある伊勢角屋ビール、ここのブルーマスターの出口善一さんにオンラインでお話をお聞きしました。
伊勢角屋ビールは、国際コンテストで受賞を重ね、英国大会では日本勢唯一の同一銘柄金賞2連覇含めて、3大会連続で金賞受賞するなど世界に品質を認められているビールです。
伊勢角屋ビールの歴史をたどってみましょう。
江戸時代から昭和初期まで、三河(愛知県)や遠江(静岡県)の民衆が船で伊勢湾を渡りお伊勢参りにやってくる舟参宮が盛んでした。
その船は勢田川に入り、参宮客は伊勢の神久で上陸して、街道に入る前に茶屋で一服してお参りしたそうです。
明治天皇もこのルートでお参りされたそうですよ。
伊勢角屋ビールの先祖である角屋で餅を、湊屋では伊勢うどんを提供していて、この二軒の茶屋に由来して角屋の餅は二軒茶屋餅と呼ばれるようになったと伝えられています。
二軒茶屋餅の創業は天正年間(1575年)ですから、有名な赤福(1707年創業)より約130年も早くからあるんですね。
もちろん今でも、こし餡を薄い餅皮で包んで、きな粉をまぶした素朴な二軒茶屋餅は販売されています。
大正12(1923)年には味噌・醤油の醸造を始め、平成9(1997)年から伊勢角屋麦酒を創業されました(今年で創業25周年!)。
出口さんは3代目のヘッドブルワーを務めておられましたが、伊勢市下野に新工場を建てて4倍に醸造量が増えたのを機に、ブルワーを統括するブルーマスターに就任されました。
以前は職人的な勘で醸造していたのを数値管理するようにして安定した品質を保てるようになったそうです。
伊勢角屋ビールの特徴はアメリカンホッピーなビールという点。
フラッグシップのペールエールも、モルティなペールエールではなくて華やかなホップを前面に出したものとなっています。
ヒメホワイトは伊勢神宮の近くの森からとった自然酵母を使用したベルジャン系のビールに柚子のピールとコリアンダーを使用していて女性に人気があります。
「ビールのおいしさは誰と飲むか、どこで飲むかで違ってくる。ビールを介した人のつながりを作ってほしい」と語られていたのが印象的でした。
伊勢角屋ビールのおはらい町の直営店では牡蠣と鰻とクラフトビールを提供。
牡蠣にはオイスタービールはもちろんのこと、ローストの効いた黒ビールも合います。
人気の鳥羽市・浦村、志摩市・的矢の牡蠣小屋で牡蠣とクラフトビールのペアリングもぜひ味わってください。
【今月のビールイベント情報】
まずはゴールデンウィーク最終の5月7日・8日、大阪・新今宮のYOLO BASE特設会場で開催される「ビア・ブラボー!」。
いま話題の東北から大阪までの各地の12のブルワリーが大阪に集結します。
新今宮は星野リゾートのホテルOMO7が4月22日オープンし、注目のスポットとなっています。
会場はホテルのすぐ近くですよ。
そして5月12日~15日は大阪城公園の太陽の広場で開催される「ベルギービールウィークエンド」。
僕も毎年参加していたんですが、2年無かったんですよね、楽しみです。
ベルギーといえばチョコレート、ワッフル、そしてビールが有名ですよね。
ベルギーは東京くらいの人口で九州くらいの面積にも関わらず、なんと379カ所ものビール醸造所があり、1,500種類以上のビールが造られています。
2016年には、「ベルギービール文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
そのベルギーでは、毎年9月の第1週末に、ベルギーの首都ブリュッセルで「ベルギービールウィークエンド(BBW)」が盛大に開催されます。
開催場所となる世界遺産に指定された美しいグランプラス広場には、世界中のビールファンでにぎわいます。
ベルギービールは単なる「ビール」ではなく、近代的で革新的な技術と1,000年以上続く醸造の伝統が融合した、地球上で最も多彩なオリジナルのビールスタイルを持っているのです。
ベルギービールが100種類以上のほかに、ビールに合う料理の販売や音楽の生演奏などが楽しめますよ。
さらに5月21日と22日は大阪南港のATCピロティ広場で開催の「クラフトビア・ライブ2022」です。
これには関西のほとんどのブルワリーが出店する、まさに関西のクラフトビール勢揃いのビアフェスです。
これはビール好きには絶対行ってほしいですね。
過去最多の50社のブルワリーが出店を予定し、200種類以上のクラフトビールが飲めます。
もちろん箕面ビールも、和ちゃんのクラフトビアベースも出店します。
6月・7月もビアフェスが続々と開催される予定となっています。また来月も紹介したいと思います。
【その他のクラフトビール情報】
和ちゃんが頑張って編集した「大阪ビアマップVOL.7」がついに発行になりました。
この号は大阪観光局の協力もいただいて、大阪駅などの4つの直営の観光案内所にも置いてあります。
約80軒のビアパブ、ブルーパブ、ビアショップなどが掲載されています。
島根県・宍道湖といえばしじみですよね。
ビール仕込み釜で、このしじみのだしを取り麦汁と混ぜて一緒に煮込んだ珍しいビールが完成しました。
松江ビアヘルンのシジミヴァイツェンです。
ほのかなしじみの出汁の香りが隠し味になって、すっきりとした飲みやすいビールとなっています。
4月23日、しじみの日に数量限定で発売されました(もう無くなっちゃったかも)。
今月は伊勢角屋ビールのブルーマスター出口さんにオンラインで参加いただいて、伊勢角屋ビールの歴史や牡蠣とビールのペアリングの話など興味深いお話を聞くことができました。
そしてリスナープレゼントもしていただきました。
伊勢角屋ビール3本セットを1名様に直送します。詳しくはコチラをご覧ください。
#ビールで明日を幸せに
ではまた6月5日をお楽しみに!
(文責:風間佳成)
■クラフトビールCLUB
毎月第1日曜日15時放送(当日22時、翌月曜日15時リピート放送)