夢は寝ている時だけに見るものではありません。
劇場や映画館では私たちは起きていながら夢を見ます。
そんなステージの「夢」について熱く語る時間「今月のMyスポットライト」。
今回のテーマは、タカラジェンヌを育む「宝塚音楽学校」。
宝塚ファン歴47年の千波留ですが、宝塚音楽学校に関しては、知らないことばかり。
そこで、宝塚歌劇団75期生彩ひろみさんにお話を伺いました。
彩ひろみさんは「今月のMyスポットライト」初回のお客さま。
初回は、リモートでのご出演です。
宝塚歌劇団に入団するためには、宝塚音楽学校に合格し、2年間ダンスや歌、お芝居などを学ばねばなりません。
合格したばかりの1年目の生徒は予科生、2年目の生徒は本科生と呼ばれます。
狭き門をくぐり入学できるのは毎年40名前後。20倍近い倍率で、合格発表や入学式、卒業式はニュースになりますね。
彩さんは1987年に首席で合格。二度目の受験でした。
合格発表で自分の受験番号と名前を発見し、思わず「あった!あった!」と連呼する彩さんに、テレビ局のインタビューが。
彩さんは一度目の受験を終えた後、ずっと、合格インタビューをシミュレーションしてきました。
そこで聞かれた「あなたにとって宝塚とはなんですか?」彩さんは「命です!!」と言い切ったそうです。
合格者とそのご家族はその後すぐに宝塚音楽学校の校舎に招き入れられ、校長先生のお話を聞きます。
「あなたたちの背後には、涙を流している人たちが大勢います。
そのことを忘れずに芸事に精進してください」
身の引き締まる一瞬ですね。
その後、講堂で行われるのが採寸。
制服、制帽、緑の袴、紋付、タップシューズなどをあつらえるためです。
どこから回ろうかと嬉しく迷っている彩さんでしたが「ちょっとこちらに来てください」と声をかけられたではありませんか。
当惑しながら事務所に向かう彩さん。
「もしかしたら、同姓同名の人がいて、私の合格は間違いだと言われるのだろうか?」
不安になりかけていた彩さんに告げられたのは
「おめでとうございます。首席で合格されました。ついては(入学式の)答辞を考えてきてください」
渡されたのは、答辞を書くための奉書紙3つと、過去に読み上げられた答辞3編。
彩さんは先輩の答辞を参考にしながらご自分なりの答辞を考えました。
それを毛筆で紙に書いてくださったのは、彩さんのおじいさま。
1回で合格しなかったら諦める約束だった彩さんが、もう一度受験できたのは、
おじいさまが陰でご両親を説得してくださったおかげなのですって。
二人で完成させた答辞は、現在も宝塚音楽学校に保管され、後輩たちのお手本になっていることでしょう。
さて、宝塚音楽学校に首席で合格ということは、自動的に「一番委員」になるということ。
一番委員とは学年の代表で、同期生全員のことを把握し、何かあったとき は先頭に立ってご指導を受ける存在です。
二度目の受験で合格した彩さん。1学年上の本科生の中には、宝塚受験スクールなどで一緒にレッスンした方たちがたくさんいらっしゃいました。共に夢を描き、学び、一緒にご飯を食べた、友であった方々からのご指導は、心で理解していても最初は本当に辛かったそうです。
しかし、自分が本科生になり指導する立場になって初めて、なぜ厳 しい教えが必要なのか理解できるようになったそうです
それは全て舞台のため。 同期生全員が助け合い、気持ちもわかりあってこそ一糸乱れぬライ ンダンスの動きに繋がり、上級生にご注意受けた際、気持ちを込めて謝罪をすることで、 いつの間にか心からの思いを話す事を学び、それが芝居のお稽古に繋がっていくのです。
芸事を学ぶ事と共に、生徒としての日常をご指導頂く、その厳しさから学び得た事をまた伝えゆく事が宝塚歌劇団員になる為に必要だと教えて頂いた2年間。それが宝塚音楽学校だと思っています。
と、ここまで伺ったところで、時間が来てしまいました。
宝塚音楽学校について、今後不定期に続きを伺うことになりそうです。
体験した人にしかわからないお話、今後もお楽しみに!
【追記】
彩さんのお膝に座っている あずきちゃんは2016年7月に「聞かせて!ペット自慢」に出演してくれました。お元気そうで嬉しいです。
「今月のMyスポットライト」
毎月第4水曜日 午前11時~
再放送 当日午後8時10分~
(文責:千波留)