元花組トップスター高汐巴さんインタビュー@今月のMyスポットライト

2023/01/25

夢は寝ている時だけに見るものではありません。
劇場や映画館では私たちは起きていながら夢を見ます。
そんなステージの「夢」について熱く語る時間「今月のMyスポットライト」。

今回は、昨年初舞台から50周年を迎えられた宝塚歌劇団元花組トップスター高汐巴さんにお電話を結んで、お話を伺いました。
髙汐さん宣材ブログ1(写真提供:高汐巴事務所)

高汐巴さんが宝塚歌劇に出会ったのは中学3年生の頃。
ご両親の離婚を機に、京都のお父様の元で生活をしておられた高汐さんが、豊中市にお住まいのお母様のもとに戻られたことがきっかけでした。
阪急宝塚線に乗ると車内には宝塚歌劇の吊り広告が。「化粧が濃いなぁ、ちょっと気持ち悪い」と思っていらした高汐さんでしたが、宝塚大劇場で生の舞台を見てカルチャーショックをうけ「この舞台に立ちたい!」と思ったそうです。
それまで全く芸事のお稽古ををしておられなかったのですが、そこから1年間「別科」という宝塚歌劇の予備校のようなところに通い、高校2年生で宝塚音楽学校を受験。1回で見事に合格されました。

「全く芸事をしておらずインスタントで受験したのですが、当時は怖いもの知らずで、試験にも全くビビることなくのびのびやったのが良かったのかも」
宝塚音楽学校の入試選考を担当された先生方は見る目がおありだったのでしょう。

厳しいことで有名な宝塚音楽学校時代も
「何をやっても怒られる、変なところだなぁと面白くて。先輩後輩ごっこ、漫画の世界のように思えて楽しかったです」とおっしゃる高汐さんです。

初舞台を踏んだ後、当時毎週あったテレビ番組にレギュラーで出演する8人のユニット”バンビーズ”に選ばれ、さまざまな組の先輩方の後ろで踊ったりコーラスを担当。その後、バンビーズのメンバーであった同期の峰さを理さん、寿ひずるさんとともに星組に配属、トリオで売り出されることになりました。

「本当に恵まれたスタートでした。ただ、その後のんびりしてしまって、後半にまた盛り返したって感じです」
何度もの組み替えを経て花組のトップスターに就任されたのは1983年のこと。
実は高汐巴さんは「トップスター」と呼ばれることに抵抗を感じるそうです。
「トップスターってトップのスターってことでしょう?私はトップじゃないですから」

いえいえ、高汐さんが色々な先輩に学ばれたように、高汐さんの背中を見て育った後輩が何人もトップスターになっておられます。高汐さんは宝塚史上に残るトップさんだったと千波留は思っておりますよ。

高汐さんが宝塚大劇場で初めて主役をいただいた時、目の前の客席が果てしなく暗く広がっていて、ご自分がちっぽけな存在になったような心細さを覚えたそう。それは自信のなさから来るもの。でも、主演となって約4年半後の退団公演では、3階席にまで手が届きそうに思えるほど、客席を近く感じたのだとか。
「それは愛情なんです。客席の皆さんが私を愛してくださっている、それが伝わってくるんです。
 主演(トップスター)というのは、全てを任される存在。全てを任されるというのは、本当に大変で無理なことなのだけれど、日々切磋琢磨していると、そんなプレゼントのような瞬間があるんですね」
そういう感覚は宝塚歌劇独特なもので、他の舞台では味わえないものだそうです。

高汐さんは、10年ほど前から大阪芸術大学の客員教授も務めておられ、かつての教え子と舞台で共演したり、劇場でばったり出会ったりする喜びも味わっておられます。

お芝居、歌、そして大学の先生などさまざまなジャンルで活躍されている高汐さんは昨年、芸能生活50周年を記念して、エッセイ『吾輩はぺいである』を出版されました。
注:”ぺい”とは高汐巴さんのニックネーム。
 本名が「よしこ」さんで、初代 林家三平さんのギャグ「よし子」さんが流行ったことから。
エッセイ写真(写真提供:高汐巴事務所)

生まれた時から現在まで、初公開のこともたくさん盛り込まれたこのエッセイは書店での取り扱いがありません。購入方法は下記サイトをご参照ください。今後のスケジュールなども同サイトでチェックしてくださいね。
【高汐巴さんのSNSサイト】
公式ホームページ:高汐巴オフィシャルウェブサイト
Instagram:高汐巴(@pei1.202)
Facebook:高汐巴後援会
Twitter:高汐巴後援会

今回、千波留の個人的な思い出をもとにした質問もさせていただきました。

・ぺいさんと言えばアドリブでしたね
 「台本に書かれたセリフを自分のものにして、その人物として舞台に立っていれば、何かハプニングが起こっても、その人としての言葉が出てくるから、何があっても大丈夫。だから、セリフであってセリフではないのね。お芝居って「会話」なの」
 なるほど!

・千波留はかつて、宝塚大橋を渡っているときに、後ろから自転車に乗ったトップスターぺいさんに追い抜かれたことがありました。その際思わず「ぺいさん!!」と言ったところ、「おっはよ〜」と歌いながら通り過ぎて行かれたんですよ。
「その場面、記憶にあります。なんとなく、そういうことがあったなって。何十年も前のことなのだけれど。すごいわね」
 本当に、仰ぎ見ていた高汐巴さんと、こんなふうにお話をさせていただく未来があるとは思いもよりませんでした。奇跡だと思っています。

今回のインタビューで高汐さんがおっしゃった言葉の中で最も印象的だった言葉は
「全ての人がそれぞれの環境の中で戦って行かねばならない。たった一度きりの人生、誰かのせいにしてぐずぐず言っている時間がもったいない」
この潔さ、その姿勢が舞台姿に出ていると思います。
RM6ブログ3(写真提供:高汐巴事務所  撮影:撮影:成木洋一)


インタビュー放送
1月 25日(水)11:00から約20分(再放送:同日20:10頃から)


(文責:千波留)