公開生録音「じゅーだいハンダイスクランブルラジオ」(1)歌会始に出席した阪大生登場!

2024/03/31

ju-han01a「公開生録音『じゅーだいハンダイスクランブルラジオ』!」
3月24日(日曜日)、正午すぎ。
北大阪急行延伸線&新駅開業に伴う「みのお新駅開業の祭典」、その会場・船場広場ステージで、2時間にわたってお送りしたスペシャル特番!
で、「公開生録音」とは?
タッキー816では、第5日曜日に

14時~15時・・・「発信!じゅーだいスクランブル」
15時~16時・・・「ハンダイラジオ 21世紀懐徳堂の社学共創」

これらの番組を放送しています。
今回、せっかくビッグイベントの新駅開業の祭典が行われるので、そのステージで二つの番組くっつけて一挙に収録しちゃえ!
・・・そんな魂胆から、タイトルもそれぞれぶつ切りにしてくっつけて、『じゅーだいハンダイスクランブルラジオ』となりました。
ステージに集まったのは、日頃「じゅーだいスクランブル」に参加している高校生・大学生のみなさん。大勢で、初っ端からにぎやかな盛り上がりを見せています!
そんな中、最初のゲストは・・・

小池弘実(こいけ・ひろみ)さん(大阪大学外国語学部スペイン語専攻3年)
武田歩(たけだ・あゆむ)さん(京都大学農学部3年・京大短歌会所属)
ju-han01b小池さんは、「歌会始(うたかいはじめ)の儀」に応募した短歌が入選し、1月に皇居で行われた歌会始に招かれ、出席を果たしました。
短歌に興味を持ったのは、高校の授業で触れたのがきっかけだったという小池さん。
京都在住のため、自宅から近い京都大学の「京大短歌会」に参加し、新聞への投稿も行っているそうです。
武田さんは同会のメンバーで、小池さんとはサークル仲間。
歌会では作品を持ち寄り、批評し合いながら切磋琢磨しているそうです。
「俳句は季語がありますが、短歌は季節が限定されず、行動や思いを詠み込む余地があります」と武田さん。
「俳句は写真的、短歌は動画的」と評されたりもするそうです。

「歌会始」の応募は、半紙に毛筆で自作の歌をしたため、郵送。
小池さんは2回目の応募で、約1万5千首の中から入選10作に選ばれました。
「すごく嬉しくて、現実とは思えないくらいでした」
そしていよいよ、本番。
前日に東京入りし、翌朝ホテルからタクシーに乗って
「皇居までお願いします」
運転手さん、びっくり!?

皇居の宮殿「松の間」は、天皇皇后両陛下、皇族のみなさんを始め、正装の人たちが居並び、それは緊張したという小池さん。そんな中で、小池さんの作品が詠み上げられました。

目を瞑り一分間を祈るとき皆が小さき平和像なり
(お題:「和」)

歌会始では、天皇皇后両陛下から直接お声をかけていただき、2~3分ほどお話しする時間もありました。
小池さんの歌に「若い世代の人が平和を真剣に考えていること、とても心強いです」とのお言葉も。

一分間の黙とうを捧げる人々の姿。
一人ひとりが、小さな平和像になっている。
有名な彫刻家が作った、見上げるような巨大な像・・・なんかじゃなくて。
本当は一人ひとりが、平和像になれるんだ。
生きている人間こそが、本当の平和像なんだ。
また、そうじゃなくては、本物の平和なんて訪れないんだ。

三十一文字に詠み込んだ思いが、心を打ちます。
世界中で繰り広げられている、無益な戦争。
災害に見舞われた土地で、今も暮らす人たち。
こんなに短いことばの連なりに、こんなに大きな思いを込められる。
たった一首で、短歌の持つ力と可能性を、まざまざと感じさせてくれる、そんな歌でした。

実はこの「歌会始」、4年前にも大阪大学の職員のかたが選ばれていました。
今日、ここに来ていただいています。
「土田真弓さんです。どうぞ!」

これには小池さんもびっくり。
本番まで内緒の、サプライズゲストでした。
当時入選した土田さんの作品は

眺望はどうだ晩夏に鳴く蝉を咥へて高く高く飛ぶ鳥
(お題:「望」)

上空を舞う鳥、そのくちばしにくわえられて鳴き声を上げるセミと、それを地上から見上げる作者。
人間と鳥は、その瞬間、対等の関係にあるようです。
高度という3次元の広がりを詠み込み、そして地上から呼びかける歌でありながら、いつしか読み手は鳥に視点を重ねて、空から見下ろしている・・・そんな面白さもある歌です。

公開生録音のステージで、初対面となったお二人。
それぞれの歌の印象を語ってもらいました。

土田さん
「小池さんが選ばれたのは、もちろん知っていました。この歌を見た時に、泣きそうになって・・・」

小池さん
「大阪大学の総長と懇談したときに、総長が土田さんのことを『すごく嬉しかった』と仰ってて」

そして今回はなんと、お題「新しい駅」でみなさんに新しい短歌を作ってもらうよう、お願いしていました。
では、ご披露ください!

革靴が足になじむ頃この駅も見慣れてきっと帰りたいまち
小池弘実

始まりに電車を一度震わせて線路は明るい方へと続く
武田歩

半世紀かけて列車はたどり着く千歳も続くまちの始まりに
土田真弓

みちがえる新しい駅まちのぞむガタンゴトンと運ぶ幸せ
ゆうき
みちがえる=「見違える」「道変える」
まちのぞむ=「待ち望む」「街望む」

住みやすくもっと便利に変わるまちみんなをつなぐ箕面萱野駅
すず

梅田から千里先行き巣立つ君テープを切りいざ幸せ運ぶ
れい

まっさらな雪の野原にひと足を踏み出す心地ホームに降りぬ
野間耕平

最後に、今後の活動について。

小池さん「今後は国内や世界で起きていることなど、より大きな視野に立って歌を詠みたい。京大短歌の機関紙や、新聞(毎日新聞など)への投稿も続けたいです」

武田さん「これまでよりもっと真剣に向き合って、一音一音にこだわり抜いた短歌を詠みたい。そのために、京大短歌会の活動をもっと充実させたいです」

■京大短歌会
https://kyoudai-tanka.com/

短歌という、千年以上も前から続くフォーマット。
それを使って、現代の若者たちも、こんなに楽しく交流できる・・・。
そんな可能性を感じたひとときでした。ju-han01c