『海を破る者』よりピックアップ@今村翔吾の翔語録

2024/05/29

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第5水曜日のデイライトタッキーでお送りするコーナー「今村翔吾の翔語録」。
直木賞作家で箕面本屋大使の今村翔吾さんに、ご自身の著書から珠玉の言葉たちを選んでいただき、その言葉の背景や込められた思いなどをお話しいただく時間です。

今回選ばれた言葉は

「二人の間に夢の国がある、ずっと向き合っていたのだ」
『海を破る者』(文藝春秋)より

『海を破る者』は今月(2024年5月)24日に発売されたばかりの新刊で、鎌倉時代、蒙古襲来(元寇)を時代背景とした小説です。

主人公は元寇で活躍した河野通有という愛媛県松山の御家人です。
日本の歴史小説として異色なのは、脇役が韓国人で、ヒロインがウクライナ人であること。

主人公・河野通有は日本から西の方角を見ながら、ヒロインは東の方角を見ながら互いに「どこかに戦のない平和な国があるのではないか」と考えていました。しかしヒロインはこの世のどこにでも戦争があり、平和な国なんてないと悟ります。それに対して道有が語った言葉が、今回選んでいただいた言葉です。

「二人の間に夢の国がある、ずっと向き合っていたのだ」
戦争をするのも人であり、平和を築くのも人。人と人の間にこそ平和があるという今村さんのメッセージです。

この小説の構想は約8年前、作家デビュー前に練ったもので、連載開始はロシアのウクライナ侵攻前。今村さんはなんだか時代が小説を追いかけている感じがしたそうです。そして現実の世界情勢をご覧になった今村さんは小説の結末について迷いが生じたのだとか。
「自分が描いているのは 綺麗事ではないのか」と。
色々と考えた末に、当初考えていた通りの結末を選んだそうですよ。

元寇を背景に、人と人との繋がりを描いた小説『海を破る者』は文芸春秋社から出版されています。これを機にぜひお読みください。
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⚫︎今村翔吾さんトピックス
今村さんは先月末(2024年4月27日)、東京の神田神保町にシェア型書店「ほんまる」をオープンされました。「ほんまる」は個人が棚を借り、小さな自分の本屋さんを構えるもの。
ご自分の棚を構えるもよし、お客様として訪れるもよし。興味のある方は「ほんまる」Xのアカウントをご参照ください。

【放送日時】
5月29日(水)11:00から約10分(再放送:同日20:10頃から)

(文責:千波留)