
第5水曜日のデイライトタッキーでお送りするコーナー「今村翔吾の翔語録」。
直木賞作家で箕面本屋大使の今村翔吾さんに、ご自身の著書から珠玉の言葉たちを選んでいただき、その言葉の背景や込められた思いなどをお話しいただく時間です。
今回選ばれた言葉は
「喰ってやる」
『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』(祥伝社文庫) P.388 L.10より
『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』は今村翔吾さんのデビュー作。
主人公は、かつて松平家に仕え定火消しとして活躍していた松永源吾。
源吾は”火喰鳥”の異名をとるほど有能な火消しでしたが、ある事情で火消しを引退し浪人になっていました。その源吾が出羽新庄藩の火消し立て直しを託される……というお話。
当時の日本の中で最も貧しいと言われていた新庄藩は、粋な火消し装束を用意することができず、町の人々から「ぼろ鳶」とはやされる状態。源吾はそんな「ぼろ鳶」を立て直せるのか?
そして源吾が火消しを引退せざるを得なかった理由を克服できるのか?
『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』は人の絆、そして炎と人の戦いを描いた、手に汗握る痛快な小説で、冒頭の数ページからアクセル全開の面白さです。
それについて今村さんは「出し惜しみしないことが大事」とおっしゃいました。
「最近の出版業界の事情を考えると、シリーズ化や次の作品が実現するかどうかはわかりません。面白いネタやこれぞと思うことを次に温存するよりも、今書いている一作に全力を尽くすべき。特にデビュー作についてはそうするべきだと思う。それが認められれば自然と次回作に繋がっていく」
これは小説家に限った話ではありません。全ての仕事において、目の前のことに全力を尽くすことで道が開けるのではないでしょうか。
その言葉通り「火喰鳥」は好評を博し、その後11巻プラス零巻というシリーズものとなりました。
シリーズ化を牽引したのは登場人物の魅力によるところも大で、特に主人公 松永源吾の妻 深雪は愉快な性格で、読者の人気No. 1。(千波留も、深雪さんのファンです)
今村さんの分析によると、主人公よりサブキャラクターに人気があるものほどシリーズとしては長続きするのだとか。ただし、最後の最後に良いところを持っていくのは主人公だそうですよ。
この作品は山形県新庄市の皆さんに特に熱く(厚く)支持されることとなりました。2022年に日本全国を周られた「今村翔吾のまつり旅」のゴールが新庄市だったことも、新庄市の皆さんと今村省吾さんの絆によるもの。小説が現実世界の縁を結ぶなんて素晴らしいですね。
今村さんが今回選んだ言葉「喰ってやる」は、シリーズ全編に共通して使われています。
ドラマ「水戸黄門」で言えば、「この印籠が目に入らぬか!」に相当し、いよいよクライマックスですよ、という合図。また、シリーズを全て読むと、「喰ってやる」が「鎮火してやる」以外の意味も含むことがわかるそうです。
ぜひ「喰ってやる」を目指して読み進めてください。
⚫︎今村翔吾さんトピックス
今村翔吾さんの『イクサガミ』シリーズ(講談社文庫)がNetflixシリーズとして実写化、世界に配信されます!
主演・プロデューサー・アクションプランナーは岡田准一さん、監督は藤井道人さん。
”世界の今村”と呼ばれる日は近い!期待しましょう。
【放送日時】 7月31日(水)11:00から約10分(再放送:同日20:10頃から)
(文責:千波留)

