大阪大学が発信するホットなトピックの数々を、公開録音でお送りする新番組「ハンダイラジオ 21世紀懐徳堂の社学共創」。
その公開録音を、3月24日(月曜日)に、大阪大学吹田キャンパス(テクノアライアンス棟1階エントランス)で行いました。
<聞き手>
野間耕平(タッキー816みのおエフエム ディレクター)<出演1>
遠藤誠之(えんどう・まさゆき)さん(大阪大学大学院 医学系研究科 保健学専攻 教授/再生誘導医学協働研究所 所長
胎児診断治療センター 副センター長)
中村麻貴(なかむら・まき)さん(特任学術政策研究員)
遠藤さんは神戸出身で、大阪大学医学部を卒業後、産婦人科の研修医としてキャリアをスタート。その後、アメリカに渡って、フィラデルフィア子ども病院で胎児治療の現場を経験します。アメリカの医師免許を取得し、医師として2年間活動した後、帰国。アメリカで学んだことを生かして、日本での胎児治療の普及・進化に努めてきました。
その胎児治療の中でも、今回取り上げるのは「脊髄髄膜瘤」という難病。
胎児の背中の部分がうまく肉で覆われず、神経が露出している状態で、そのまま生まれると下半身の機能が不完全になるなど、重い障害が残ります。
これを、胎児の段階で「背中を閉じてやる」手術を施せば、出生後の障害を軽減できることがわかっており、アメリカを始め各国でその治療が行われるようになっています。
実際には、母親と胎児を同時に手術する難しさがあり、手術後も早産を抑える処置などが必要となります。
現在、日本での手術は年間5から6例ほど。手術が可能なのは妊娠26週までという期限があるため、検査で脊髄髄膜瘤がわかってから親が手術を決断するまで、時間的余裕はそれほどありません。
また、手術が可能なのは大阪と東京のみで、地方在住のかたは診察や手術を受けるための滞在費用も、大きな負担になるといいます。
そこで、そういった人たちにも安心して手術に臨んでもらうために、クラウドファンディングが立ち上がりました。
●お母さんのおなかの中で難病の手術を。胎児手術が選択できる未来へ挑む
・手術費用の補助
・患者の宿泊費、交通費の負担軽減
・周知、啓発、手術後のフォローアップほか
期限:4月30日まで
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●被災地支援の現場で役立てることを目指して!災害時に見守る超薄型センサ
(心電の波長を感知することが可能な極薄シート型センサの改良・開発)
・極薄シート型センサの改良・開発費ほか
期限:4月30日まで
こうした胎児治療に携わるようになって、嬉しかったことは?
「手術の後、無事生まれたお子さんが、1歳ぐらいになった動画が送られてきて」
元気に歩き回る、その姿。
もし手術をしなかったら、歩けるようにならなかったかも。
感謝の言葉と共に送られてきたその動画に、遠藤さんも「胎児治療をやっていて良かった」と感慨深かったそうです。
さて、遠藤さんは多方面に趣味をお持ちで、その中でもモンゴルの楽器演奏や歌が特技だそうです。
せっかくなので、ちょっとお聴かせください。
「それでは『ホーミー』を・・・」
ウゥーーーヴゥィィィーーーヴゥィィー
朗々と響き渡る、独特な歌声。
今年はモンゴルまで行って、演奏を披露する計画もあるとか。
本業に、趣味に、充実した時間を送っているご様子が伺えました。<出演2>
万博学生部会「ローバース」の活動について
成田智也(なりた・ともや)さん(大阪大学文学部4年)
河津葵(かわず・あおい)さん(大阪大学工学部1年)
「ローバース」とは、ボーイスカウトの年代の区分の一つで、18歳から26歳までがそう呼ばれます。
つまり、大阪大学でボーイスカウトの活動をしている学生たちのサークル。
箕面のボーイスカウトとの交流も行っているということで、その活動の一つが「海ごみアート」。
子どもたちと一緒に海辺で拾ったごみで、アート作品を作るというものです。
色とりどりのプラスチック片やシーグラスで、美しい作品が生まれ、海の美化にもつながるので一石二鳥。
こうして作った海ごみアートが、この度大舞台で披露されることになりました。
「大阪・関西万博での展示が決まりました!」
日時:9月21日(日曜日) ※ステージ発表は16時から(30分間)
会場:チームEXPOパビリオン
世界の人々にも、海ごみアートを通して、活動を知ってもらうビッグチャンス到来です。
展示とステージ発表が、素晴らしい機会となりますように!<出演3>
田中秀和(たなか・ひでかず)さん(大阪大学産業科学研究所・教授)
嶋谷泰典(しまたに・やすのり)さん(大阪大学特任教授 21世紀懐徳堂副学主 万博推進室副室長)
田中さんは現在、同研究所で次世代の半導体の開発に取り組んでいるといいます。
「でも、今日はそのことじゃなくて・・・」
空手
えっ?
阪大の教授がなぜ?
「きっかけは、子どもが習い始めて付き添いで私も行って、待ってる間どうせ暇だから、と一緒に始めたんです」
以来4年間、真剣に打ち込んで、今では空手初段。
たまたま、タッキー816が取材した箕面市空手道協会の初稽古で、写真に息子さんが写っていたことから「縁を感じて」今回のラジオにもご出演いただくことになった、という次第です。
箕面の空手道場には、大阪大学の先生や空手部の学生も指導に訪れるということで、「大学と地域の交流になっている」。
大阪大学のモットー「地域に生き、世界に伸びる」を体現しているのでは、と語っていただきました。
そして最後は、3月いっぱいで現職を退任する嶋谷さんのお話。
「新年度から、この『ハンダイラジオ』は箕面キャンパスに特化した内容で、引き続き放送していきます」
これまで、番組の出演調整などで尽力して来られた嶋谷さん。そのおかげで、名だたる教授の数々や、学生のみなさんにも多数ご出演いただき、他には無い魅力的な番組を制作することができました。
これまで、ありがとうございました!
なお、退職後は、アッと驚く転身!?
全く異なる業界に心機一転、飛びこんで行くそうです。
どうなっていくのかわかりませんが、これからも元気に活躍されることをお祈りします!