福井栄一さんの最新刊『小悪魔の大辞典』@植田洋子とTea For Two

2025/07/02

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ステキなゲストをお迎えして、楽しいトークと素敵な音楽をお届けします。
お茶でも飲みながらステキな午後をお楽しみください。
(聞き手:植田洋子) 
今回のゲストはおなじみ、上方文化評論家の福井栄一さんをお迎えして、47冊目となる著書『小悪魔の大辞典』について伺いました。
この本は、福井さんにとっても初めての、電子書籍として刊行されました。
全文量が約150万字、見出し語が7505語にも及ぶ膨大な内容で、紙の本だと到底持ち運びが不可能。それで出版社と相談し、電子書籍でということになりました。電子書籍は拡大表示ができ、高齢者にも読みやすい利点があることも紹介されました。

『小悪魔の大辞典』は、19世紀末から20世紀初頭のアメリカの作家、アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』に着想を得た作品です。福井さんは中学時代からこの本を愛読し、いつか自分流の辞典を書きたいと考え続けてきました。今回の書名は、オリジナルへの敬意と謙遜を込めて「小悪魔」とし、語数では原作を上回る規模となっています。出版日はビアスの誕生日である6月24日に合わせられました。

内容は、一般的な辞書のような客観的定義ではなく、皮肉やユーモア、社会批評を織り交ぜた独自解釈が特徴です。例えば「死」という項目では「若者の背後にあり、老人の眼前にある」と一行で表現され、「メンバー」という項目では天使と悪魔のサッカーの会話に置き換えるなど、読者の想像力を刺激する工夫が凝らされています。真面目な解説からブラックユーモアまで幅広く、読む場所によって印象が変わる構成になっています。

福井さんは、長年にわたり講演準備や執筆の合間に、カードやパソコンを使って小ネタを記録し続けてきました。その蓄積が150万字に達したとのことです。構成作業は非常に過酷で、行ごとの偏りが出ないよう、あえて順不同で編集するなど工夫を重ねたそうです。なお、今回刊行された内容は全体の約3分の1に過ぎず、原稿は現在も書き続けられており、電子書籍ならではの「更新できる本」として成長し続ける予定だと語られました。

「博覧強記」という言葉の見本のような、福井栄一さん。
今回の『小悪魔の大辞典』は、その福井さんらしさが最も現れている作品ではないでしょうか。
読んで思わずニヤッとしてしまう、そんな読者のようすに、陰でこっそりほくそ笑む福井さんが目に浮かぶようです。