毎月第一水曜日11時からお送りする「カメラとお散歩」ではスタジオにカメラマン宮本陽さんをお迎えして、カメラの楽しみ方や撮影エピソード、ワンポイントアドバイスなどを聞かせていただきます。
「次回は天体写真についてお話ししたい」と、先月の放送時に予告したところ、いろいろなご意見やご質問が寄せられました。
今月はそれに対しての答えをお送りしました。
ただし、天体写真は天体本体の研究と同様、最先端技術がしのぎを削る分野です。
「カメラとお散歩」の時間は、一般のかたが、ちょっとしたコツで楽しく写真を撮れるようにサポートさせていただくことが目的ですので、最先端の技法や道具を用いないという前提でのお答えであることをご了承ください。
それでは、質疑応答をご紹介します。
Q.九州で、これまで見たこともないような満天の星を見て、嬉しくてiPhoneで撮影したら、真っ黒に映りました。
A.ご覧になったのはおそらく図鑑に載っているような満天の星空、無数の星たちでしょうが、夜空は思っている以上に暗いのです。露出が圧倒的に足りないので、iPhoneでの星空撮影にはかなり無理があります。
また、星は非常に小さい被写体(実態ではなく見たときの大きさ)ですので普通に4〜5インチの画面で再現するのは難しいように思います。
Q.月と星を同時に綺麗に撮るにはどうしたら良いですか?
A.実物の大きさはともかく、月と星を比べれば月の方が段違いに大きく明るいため、同じ画面内に存在させるのは困難です。
星の写真(星野写真=せいやしゃしん)を撮る場合には、月の無い夜を選ぶ必要があります。
Q.天体写真に向いているカメラはありますか?
A.あります。星は可視光線外の色域を発しています。それらをより敏感に感じるセンサーを備えたカメラは、いろいろなメーカーからも出ていますので入手することは可能かと思います。
Q.コンデジで星が流れた写真は撮れますか?
A.何時間かシャッターをあけたままにして撮ることで「軌跡」が残せます。シャッターを開けたままにするモード(B=バルブ)があるモデルなら可能でしょう。但し、三脚固定が前提です。
Q.アタッチメントを買う予算がありません。天体望遠鏡に直接レンズをくっつけて撮影することはできますか?
A.可能です。カメラのレンズをそのまま望遠鏡の接眼部(目で覗くところ)に当てる方法を「コリメート法」といいます。ただし傷がつかないよう注意が必要です。
いかにもアナログ的ですが、私も小学生、中学生の時代には、こうやって月面写真を撮っていました。
但し、望遠鏡の先にある被写体は、月面などの非常に明るいものに限られます。
実際には、望遠鏡の接眼部以外にも、望遠鏡の周囲やその他、周りのものも視野には入っています。しかし、月面のような「非常に明るい」もの以外は結果として写りません。
この方法は暗い星には向きませんし、望遠鏡を通してみた大きさ(視直径)が小さいものもダメですのでご注意ください。
以上、ご質問への回答でした。
どうぞ参考になさってください。
「カメラとお散歩」次回もお楽しみに。
シティライフ誌阪神版に宮本陽さんの記事が掲載されています。
→シティライフ阪神版2015年8月号P14
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