しあわせの道しるべ:第18回(3/5放送) 早川昌子さん

2017/03/05

『幸運(しあわせ)の道しるべ』(30分番組)

毎月第1日曜 15:30〜
(再放送:同日夜22:30〜、翌月曜15:30〜)

誰にでもある人生のターニングポイント。
そのとき、何を感じ、どう選択していったのか。

フリーライター・コーディネーター 中村のりこが、
公私で出会う素敵な方々を毎月ゲストにお迎えして、
その方の人生の転機についてお話を伺っていく対談番組です。

大きな波を起こすものではないけれど、
ラジオを聞く人の心に、小さな道標ができる。
そんな番組をめざしています。

今回のゲストは・・・
リエゾン精神看護専門看護師
早川昌子さん。

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<早川昌子さんプロフィール>
平成11年兵庫県立看護大学大学院(現兵庫県立大学大学院)看護学研究科修了。看護学修士(精神看護学)。
同年より関西労災病院勤務、平成19年4月より相原病院乳腺科でも勤務。
平成13年専門看護師として認定。
認定審査後、登録されている精神看護専門看護師のうち、
関西地区では最初にリエゾン精神看護を実践するリエゾンナースとして活動をはじめる。
総合病院におけるリエゾン精神看護(患者家族への心身を包括した精神看護とスタッフへのケア)を実践する一方、関西労災病院勤務より乳腺科チーム、緩和ケアチームに属し、がん患者への心身へのケア、サイコオンコロジーのうち、特に乳がん診療における心身のケアに専門特化し活動。
看護系大学、大学院における基礎教育や日本看護協会などの研修講師などもつとめる。
相原病院HPより)


1995年度からはじまった専門看護師制度。
現在、全国の認定看護師は約1800人。そのうち、精神看護認定看護師は約260人。
20年経った今も、大阪にいる認定看護師は、わずか十数名という少なさにビックリ!

そんな中でも「リエゾン認定看護師」の関西での先駆けが、早川昌子さんです。

リエゾンというのは、「つなぐ、橋渡しをする」という意味で、
基本的には、体の治療(ケア)、心の治療(ケア)をつなぐこと。
そして、医者と患者、看護師と家族、家族と患者などの間に入り、
双方をつなぎあわせるグルーのような役割を担う看護師さんです。
1980年代に日本に入ってきた専門学で、まだまだ日本では専門家の少ないのが現状です。

小さな頃から医療職を目指していた訳ではなかったという早川さん。
山口県の高校を卒業して、医療短期大学に入学。
せっかく看護師のライセンスを取ったのだからと山口県の病院で勤め出しました。
現実は甘くなく、専門家として仕事をするというよりはひとつのコマになってしまっていたと振り返ります。
そして、ここで人生を変える出来事が…。
当時、担当していた患者さんの自死でした。

「死にたい」と言っていた患者さんのケアにあたり、
なぜか「この患者さんはもう大丈夫」と思った翌日のことでした。
その患者さんが自ら命を絶ってしまったのです。
その現場に立ち会ったとき、
「患者さんが死にたいと言ったときに、なぜその深い悲しみや苦しみに、全く触れられなかったのか…」
心底自分を責めた早川さん。
「こんなことではいけない。体の治療だけではなく、心が看られる専門家になりたい!
勤務先を退職し、再び心のケアというものを学びに、大学へ戻ることを決めました。

阪神淡路大震災があった1996年4月に兵庫県の大学へ編入。
このとき、恩師・南裕子先生に出会い
リエゾンナースというものの存在を示してもらったことも、
大きなターニングポイントとなりました。

そして、その大学が偶然にも震災後の看護ボランティアの拠点になった場所でした。
この震災からPTSDという概念が日本に入ってきたので、避難所支援も行いながら、
大学・大学院を通して、それを勉強する日々が続きました。

そして、2005年。
尼崎の病院に勤務しているときに、福知山線事故が発生。
運び込まれてくる患者さんの手当にも関わり、
その患者さんたちの心のケアを担当します。
その患者さんたちのほとんどが、やっと社会にもどっていけたのはつい最近、とのこと。
体の傷は癒えても、心の傷の大きさ深さは、10年掛かりでやっと…だったのですね。
心に寄り添うことの重要性をあらためて知るエピソードです。

また、大学院の恩師・中井久夫先生(神戸大学名誉教授。文化功労者。医学博士)の言葉も、今の早川さんにとって、大きなキーワードとなっています。
「医師は、精神科の診断がつかないと治療ができないけれど、看護は診断がなくてもできる。
患者さんが病院に入った瞬間から亡くなるときまで、看護はできるでしょ」
この言葉にものすごく大きなインパクトを感じたそうです。
「あ、私たちは患者さんの悪いところを見つけていくんじゃなくて、
 この人が生きていることとか、持っている力に注目して、それを支えればいいんだ
そう理解し、精神看護を目指すことを再確認したそうです。

この仕事は、患者さんに学ぶことが多いと話します。
福知山線事故の患者さんもそうですし、がん患者さんも同じ。
「自分の望みや希望だけではどうにもならないこと。例えば、もっと生きたいと思っていても、病気で持って行かれてしまうこともあるし、ある瞬間を境に自分の人生が変わってしまったりするわけです。
そうしたことを通したときに、自分がやりたいと思ったり、自分が信じていることをやらないと、本当にもったいないと思わされます」

現在、早川さんにはやりたいと思っていることがあります。
「患者さん同士の力でケアできることがある。そこにずっと注目しているんです」
「どんな苦境にある人だって、その人が誰かの役に立つ、助けられると信じています。与えられるだけの人はこの世にはいません。人を助けることが、自分の力になるんです。さらに、グループの力はスゴイ!これを何とか形にして、患者さんを元気にしたいと思っています」

リエゾン精神看護専門看護師として、先頭を走る早川さん。
新たなケアモデル構想に期待しています。

【早川昌子さんからの“道しるべ”メッセージ】
潮目が悪いときには動かない。これが私のモットーです。
努力などを超えて、潮目や風向きというものはあると思うんですよね。
運が動くとき、ものが揃うときなど…。

なので、潮目が悪いときはジタバタせず、食べてお風呂に入って寝る。
これが私のモットーです。

早川さん、ありがとうございました♪

【早川昌子さん講演会情報】
●3月11日(土)13時〜16時 ドーンセンター

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次回の『幸運(しあわせ)の道しるべ』は…
 4月2日(日)15:30〜
 (再放送:同日夜22:30〜、翌月曜15:30〜)
次回もお楽しみに!

<放送の聴き方>
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(文責:なかむらのり子)